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カバレッジ

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 先日の日本選手権でヘッドジャッジを務めたレベル3ジャッジ牧野 充典。北海道を拠点とし、日本、そして世界へと活動の場を広げていった彼は、今何を考えてコーディネーター、及びジャッジ活動をしているのだろうか。彼のその鋭い眼光には、一体マジックはどのように写っているのだろうか。あまり語られてこなかった、本音の部分を探って行こうと思う。

―― 今日はお忙しい中、札幌を代表する建物の前で写真撮影にまでお付き合いいただきありがとうございます。

牧野 こちらこそ、わざわざ機会を設けていただき、ありがとうございます。非常に嬉しく思っております。

―― まずは、自身初となる大型プレミアイベントでのヘッドジャッジという重責を終えて、何か感ずる所はありますか?

牧野 プレイヤーの皆さんと、ジャッジの皆さんと、そのほか大勢の関係者の皆さんのお陰で、無事終えることが出来ました。ありがとうございます。過去世界最大数のプレイヤーにご参加いただいた国別選手権に携われたこと、そして責務を果たせたことに大きな達成感を感じています。
 プロツアーや世界選手権でも多数ジャッジをしてきましたが、こういった大型イベントで初めてのヘッドジャッジでした。まだその特別な役割に慣れていなく、多くのスタッフやジャッジの協力に助けらた部分があったと思います。特に今回は、プレイヤーの皆さんも協力的にしていただけたので、日本選手権という大イベントの成功を得られたと思います。ドラフト後の組み合わせでのトラブル時にも、最小限の時間で混乱なく進行することができました。ジャッジからの質問に誠実に答えていただいたこと、デッキリストを正確に記していただいたこと、また不正への対策にもプレイヤー全員の協力を得られ大変助かりました。

―― その一方で、先日札幌で行われたプレリリースイベントの主催者としても活動されていますが、今までのプレリリースイベントと比べて、何か変わってきた部分はありますか。

牧野 イベントに来ない人でも、ちょっとその日だけイベントに参加しただけで、普段の何倍もマジックを楽しめるイベントにしていきたいと思っています。プレリリースイベントに関しては、行う度に毎回集まる顔ぶれが広がっていって、時期が過ぎるごとにその人たちの参加する頻度が上がっていっている実感があります。そういった人たちが、プレリリースイベントだけに参加するのではなくて、発売記念パーティやゲームディにも参加して貰えるように努力していきたいと思っています。

―― 普段牧野さんはどんなことを大事にしてマジックに関わる活動をしてますか。

牧野 まず、マジックは無条件に素晴らしく楽しいゲームです。私はそれが凄く楽しいということを凄く良く理解しているつもりで、みんながもっともっとマジックを楽しんでもらえるような手助けをしたいと常々考えています。
 具体的に私にできることは、楽しみに満ち溢れる公正な大会を通じて、マジックを楽しむ環境を整えていくことです。プレイヤーが集まれば数多くの楽しみを自分達で生み出し、作られていくはずなので、ジャッジ達はそれが公正に行われるように保ったり、居心地のいい環境を作っていくのが大事だと考えています。
 いや、こんなにも楽しさを満喫している部類の一人としてずるいと思いますよ本当に。マジックを始めたころから楽しいとは思っていましたがまさかこんなにとは。大会がどんなに楽しいイベントなのかをまだ知らない人たちには、早くこの楽しさの真髄を伝えなければいけないと思います。

―― 牧野さんの思うジャッジの良さとはどんなことですか。

牧野 ルールに詳しくてトーナメントで忙しそうにしている、くらいしか下手するとジャッジって露出していないのではないでしょうか。(それが楽しそうに映っていることを願って止みませんが。)でも、それはジャッジのほんの一部分の側面でしかありません。僕の秘密の楽しみを喋っていいんですか。長くなりますよ。ジャッジは私がこんなにものめり込んだマジックの持つ楽しみ方の一つですから。興味をもってくれる人がいることを期待して、ほんのちょっとだけ紹介しましょう。
 大型イベントに行くと日本中の、世界中のジャッジが集まってきます。そこで起こる出会い、そこで知った情報、そこで得た技術、何より、非常に感覚的な表現しかできず申し訳ないのですが、ちょー楽しい!どんどんジャッジにのめり込んでいきました。初めてのプロツアー、僕は右も左もわからず言葉もしゃべれずという感じだったのですが、最終日の「Judge Dinner」和訳すると「打ち上げ」の頃には流暢にカタコトを操り完全に楽しめていたのは最高の思い出です。正直、はじめ来てはいけない所に来てしまったかと自信を失いかけていたのですが、「同じマジックのトーナメントなのだから普段どおりにするだけで十分だ。」と言われてみれば本当にそのとおりでした。
 ちなみにその時僕に自信を取り戻させたジャッジ、プロツアー特有の多くの事を教えてくれたジャッジ、プロツアーならではの楽しみに引きずりこんでくれたジャッジが先日そろってLv4になりました。なんだか感動しちゃいましたよ。
 実は初めてプロツアーに行ってから今まで皆勤なんですよ。次は9月のオランダアムステルダム。前週にはスウェーデンのグランプリヨーテボリ、翌週にはアメリカのグランプリポートランドが控えています。なんとか世界一周しようと計画を立てているのですが、残念なことに勝算が低いんですよね。ああ、行きたい。行きたい。
 チャンピオンが目の前で誕生する。6人で借りたはずの別荘に気づけば20人以上が集まり毎度毎度誰かに世界各国の料理を振舞われる。カバン消失、空港とバトル。雲の上の人が真摯に相談に乗ってくれる。久しぶりに会った外国人が変な日本語覚えている。それはまた別のお話ですがどれもこれも楽しいことばかりです。自分だけかもしれませんが、私は拍手を浴びるとヤバいんですよ。トーナメントで拍手を浴びたりするとたまらない快感に包まれます。(これ日選の話です。朝一でうるっと来ちゃったのはナイショで。)なにより日ごろの大会でいつもいつも言って貰えるアレ、大好きです。「ありがとう」は魔法の言葉です。

―― マジックは今後どうなっていくと考えていますか?

牧野 一歩引いてマジックをひとつの趣味として見る事があります。そうしてもマジックは他の色々な趣味と比べ、このゲームを趣味としている人たちに愛されていると思います。また、こんなにも「ユーザーにどれだけ楽しんでもらおうか。」と心血注いでいる会社も類がないでしょう。私がマジックに没頭してしまう所以も恐らくこのあたりにあります。愛すべきゲームを趣味とする者同士これからも一緒に楽しい環境を共有していきましょう。
 たくさんの人がこれからもこの愛すべきゲームに携わっていくでしょう。楽しい場所がどんどん増えていって、今までよりももっと素晴らしい趣味として多くの人に永く愛されていくのだと思います。

―― 最後に一言お願いします

牧野 ジャッジに興味を持ってもらえると嬉しいです。お近くの認定ジャッジに声をかけてみてください。きっと彼らは最適な方法を教えてくれるでしょう。もっと大会を良くしたいと言う話題は人一倍大好きな人たちですから、どうぞお気軽にコンタクトをとってみましょう。
 無論私も大会がこれからも良くなるため沢山の協力を求めています。認定ジャッジを目指す方、その役割、方法を伝えたいと思います。大会作りを手伝ってくれる方、どんな大会を作りたいか、何をしてほしいかを伝えたいと思います。そこまで感じる段階ではない方は、有志の方々を応援するとか、大会に不慣れな方の居心地に気を配るとか、ひとつひとつが十分な助けになります。「楽しい大会」これに共感してくれる方は是非その気持ちを私に伝えてください。
 では皆さん、またいつかどこかの大会を一緒に楽しみましょう。

 プロツアー出場経験もある斉藤。しかし、今日はそんなことよりも彼のデッキに注目して欲しい。なんと《悪斬の天使/Baneslayer Angel》と《審判の日/Day of Judgment》Foilという、白の2大レアとも言えるカードを搭載し、更に黒除去も《破滅の刃/Doom Blade》2枚を中心に充実している。1マッチ落としてしまったが、この最強デッキで2回目の土は付けたくないだろう。

 佐々木は普段は友人宅でマジックを楽しんでいるプレイヤーだ。今日はM11のプレリということで、その友人達と一緒に会場に足を運んだ。彼のデッキも《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》を中心に良くまとまった構成となっており、強力なレアにやられてしまわなければ十分勝機はある。

Game 1

 ゲームは斉藤の《強迫/Duress》から。明かされた佐々木の手札は《破滅の刃》《リリアナ・ヴェス》《包囲マストドン/Siege Mastodon》《氷の牢獄/Ice Cage》《蒼穹のドレイク/Azure Drake》。しかし土地が《平地》1枚しか無い! 斉藤は軽いカードということで《破滅の刃》を選択した。

 ところがここから佐々木は《平地》《島》《沼》《沼》と連続で引き込んで、ストレートに《リリアナ・ヴェス/》に辿り着く。これには斉藤もやられ顔をするしかない。

 ここまでで、まともなクリーチャーが《ロック鳥の雛/Roc Hatchling》くらいしか出せていない斉藤は、マナが整ってしまった佐々木の前に後手後手になってしまった。初手からあった《蒼穹のドレイク/Azure Drake》と、引いてきた《雲の十字軍/Cloud Crusader》が攻撃を始め、《リリアナ・ヴェス》が斉藤の後続を封じる。

 地上も《包囲マストドン/Siege Mastodon》でがっちり、空には《突撃するグリフィン/Assault Griffin》をも追加した佐々木が、そのまま押し切った。

斉藤 0-1 佐々木

Game 2

 またも軽快に飛行持ちを展開する佐々木。1ゲーム目の二の舞は避けたい斉藤は、《ガーゴイルの歩哨/Gargoyle Sentinel》で攻撃を抑止しに掛かる。実は《悪斬の天使》が手札にあるのだが、白マナが1つ足りずに場に出せない。

 しかし、2ターン後に無事《平地》を引くと、佐々木の飛行クリーチャーは4体いるにもかかわらず、制空権は圧倒的に斉藤のものとなった。ライフが8まで低下した佐々木は、《送還/Unsummon》→《思い起こし/Call to Mind》で《送還》回収→《送還》→《霊気の達人》と粘ってやっと《縮退/Diminish》を引き込み、《悪斬の天使》を除去することに成功した。

 その上《墓場からの復活》で《悪斬の天使》を手に入れ、あっという間に攻守が入れ替わる。15点のライフを佐々木に与えた後、《堕落/Corrupt》で除去されて、完全にゲームが振り出しに戻ってしまった。

 お互いにクリーチャーを並べ合い牽制するのだが、先に動いたのは佐々木。フルアタックして、《水の召使い/Water Servant》と《霊気の達人/AEther Adept》が通ったのを見て《鼓舞する突撃/Inspired Charge》を放つ。一気に10点削ったが、斉藤にはライフが5点残った。

 斉藤は落ち着いて、膨大なマナに支えたれた《夜翼の影/Nightwing Shade》と、沼渡りの《沼の略奪隊/Bog Raiders》でダメージを積み重ねる。

 16点あった佐々木のライフが0になるまで、この2体が対処されることは無かった。

斉藤 1-1 佐々木

Game 3

 先手の佐々木は《嵐前線のペガサス/Stormfront Pegasus》《突撃するグリフィン/Assault Griffin》《包囲マストドン/Siege Mastodon》とマナカーブ通りの動きで斉藤に襲い掛かる。その上ブロッカーとして斉藤が呼び出した《夜の子/Child of Night》を《霊気の達人》で手札に返して、ダメージを稼いだ。

 それとは逆に、土地が3枚で止まってしまった斉藤だったのだが、ここで《平地》を引き込んで《審判の日/Day of Judgment》! 見事に1:4交換を成し遂げた。

 こうなってしまうとゲームは完全に斉藤のペースだ。《水晶球/Crystal Ball》でドローの質でも佐々木を圧倒する。

 しかしここで制限時間が来てしまった。追加の5ターンで必死にライフを攻め、《墓場からの復活/Rise from the Grave》で《幻影の獣/Phantom Beast》を釣るプレイできっちり残りライフを削れる計算だったのだが、無情にも佐々木は《思い起こし/Call to Mind》を唱え、《糾弾/Condemn》を回収した。

 これでこのターンに佐々木を倒す為には、別のカードが必要になった斉藤は、力を込めて最後のドローをするのだが実らず、このマッチは引き分けとなった。

斉藤 1-1-1 佐々木

 青白タップアウト同士の準々決勝を勝ち上がってきた千は、ここで「ニュースタイルジャンド」で無敗の千葉とマッチメイクされることになった。最近はあまり見ない《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》搭載の同系に強いチューンのようだ。

 だが、千葉のジャンドはそれをはるかに上回る出来だ。試合前に今大会の抱負を聞いた所、次のような答えが返ってきた事からもそれが伺える。

Game 1

 いきなり「ニュースタイルジャンド」の一端が明かされた。2ターン目の《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》は普通だが、3ターン目には《バジリスクの首輪/Basilisk Collar》が《朽ちゆくヒル》に装備され4点ビートを刻み始める。

 千は2ターン目に1回土地が止まってしまうのだが、その後は順調に土地を引き込み5ターン目に《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》。トークンを出して《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》へのブロッカーとする。

 だが「ニュースタイルジャンド」はその程度ではピクリともしなかった。《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》が導いたその答えはなんと、メインボードからの《狡猾な火花魔道士/Cunning Sparkmage》! 速攻でトークンを薙ぎ払って《朽ちゆくヒル》と《血編み髪のエルフ》が本体にダメージを与える。

 なんとか《朽ちゆくヒル》は《忘却の輪/Oblivion Ring》で対処した千だったが、残りライフはわずか9。起死回生の一手として《軍部政変/Martial Coup》をX=5で唱えるのだが、千葉は手札から3枚のカードを千の眼前に突きつけた。

《稲妻/Lightning Bolt》
《稲妻/Lightning Bolt》
《荒廃稲妻/Blightning》

千 0-1 千葉

Game 2

 先手の千が2ターン目になにもプレイできなかったのに対し、千葉はまたも2ターン目の《朽ちゆくヒル》。3ターン目には《狡猾な火花魔道士/Cunning Sparkmage》を配備するが、これは《審判の日/Day of Judgment》で流された。

 4ターン目の千葉のアクションは《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》キッカー。千の土地を削った上での《狂乱のサルカン/Sarkhan the Mad》は千にとってかなりのプレッシャーとなる。「《闇の腹心/Dark Confidant》」能力でドローを進めた。

 サイドインされた《天界の粛清/Celestial Purge》で《狂乱のサルカン/Sarkhan the Mad》にはご退場願った千。《流刑への道/Path to Exile》をも使用して千葉のミシュラランドにも対処し、場には《ゴブリンの廃墟飛ばし》が残るのみ。ここからプレインズウォーカーを並べて逆転したい所か。

 まずは《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》を呼び出して+2能力を使い、千葉のデッキに多く含まれる速攻持ちのクリーチャーに対応、千の手札は残り3枚、ライフは千9-17千葉だ。

 手札が5枚の千葉は手札を睨みながら長考。《ギデオン・ジュラ》を《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》で排除してから、《ゴブリンの廃墟飛ばし》で攻撃して2点、《荒廃稲妻/Blightning》で3点。千のライフは残り4点まで落ち込む。

 しかし千は地上の守りとして《前兆の壁/Wall of Omens》、そして起死回生の《悪斬の天使/Baneslayer Angel》! 千葉はこれを見て一言「あったか……」と呟くが、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》を唱えて続唱が《狡猾な火花魔道士》。ぎりぎり場に7点のクロックを残して、勝利への望みを繋ぐ。千のライフは《悪斬の天使》で5点回復し、《狡猾な火花魔道士》で2点減って残り7。

 千葉はフルアタック後《狡猾な火花魔道士》のダメージを《前兆の壁》に与えて地上を排除。千は《悪斬の天使》で殴った後《ジュワー島のスフィンクス/Sphinx of Jwar Isle》で次のターンに殴り勝てる場を作る。

 これが勝負所な事を誰よりも理解している千葉は、気合を入れてドロー!

 《強迫/Duress》

 アンタップインの土地、除去、速攻クリーチャーのどれを引いても勝てる場だった千葉は山札の上に嫌われ、ゲームは3本目へと進む。

千 1-1 千葉

Game 3

 二度あることは三度ある、とはいかず、三度2ターン目《朽ちゆくヒル》とはいかなかった千葉。クリーチャーランドを横置きしながら《バジリスクの首輪》を設置し、4ターン目の《ゴブリンの廃墟飛ばし》がファーストアクション。《天界の列柱/Celestial Colonnade》を破壊した。

 《強迫/Duress》を放つ千葉に対して、スタックで《天界の粛清》を《ゴブリンの廃墟飛ばし》に打った千。公開された手札は3枚の土地と《ジュワー島のスフィンクス》と《流刑への道》。《流刑への道》が墓地へと置かれ、千にとってはかなり痛いアクションだ。

 これで勢いづいた千葉は続けて《血編み髪のエルフ》を召喚、この続唱が《朽ちゆくヒル》を呼び込み、一気に千のライフを削り取る。

 千は明らかに《審判の日》が欲しい状況だったのだが、手札を暴かれている上にトップデッキも叶わず、そのまま「ニュースタイルジャンド」が決勝の椅子を確保した。

千 1-2 千葉

 

 ちなみに、決勝戦は千葉vs秋元となり、秋元のドロップによりエルドラージ覚醒ゲームデイ優勝は千葉 晶生となった。《不死の天使/Deathless Angel》フルアートカードと、ブースターパック1box分を賞品として得た千葉。おめでとう!

 同じプレイテストグループで調整をしている両者は、徴兵バントの同系対決だ。古くからマジックをプレイしていて、先に行われた日本選手権札幌予選で2位に入り、78,000円のトラベルマネーを得た秋元ではあるのだが、「同系だから普通に負けるし」と言葉自体は弱気なものの表情からは勝つ気しかない。

 武田は最近本格的にトーナメントマジックに参加しだした。プレイングにはまだまだ成長の余地はあるが、今日のTOP8入賞も自信となって、今後のプレイにいい影響を与えるだろう。日本選手権予選でTOP8入賞した後藤も同じグループで、彼らのような新しい風が上位卓を占める日も遠くないのかもしれない。

 新鋭がベテランを倒す金星を挙げ、優勝への道を駆け上がるのか。

 はたまた古豪が壁となって新鋭を押し返すのか。

Game1

 後手の武田はテイクマリガン。先攻秋元が1ターン目に《極楽鳥/Birds of Paradise》をプレイしたのを見て
武田 「終わった……」
と、手札の内容も良くは無さそうだ。

 逆に秋元は好調そのもの。2ターン目に《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》を唱えて、4ターン目に少考すると《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》を出してから《聖遺の騎士》の能力を起動して《霧深い雨林/Misty Rainforest》を場に出して起動とマナブースト。《数多のラフィーク/Rafiq of the Many》に繋いで先制パンチだ。

 武田はひとまず《数多のラフィーク》を対消滅するのだが、秋元はダメ押しの《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》。《水蓮のコブラ》と4/4に育った《聖遺の騎士》が攻撃を加え9点のダメージを与えると武田の残りライフはあと9しかない。

 返しのターンにドローして武田が呟いた言葉は、
武田 「これ、先攻ゲーでしょ……」

秋元 1-0 武田

Game 2

 またしてもマリガンの武田はすでに疲れた表情。秋元、千葉と一緒に二晩連続で徹夜マージャンに興じていたらしく、朝9時に会場についた時点でもうだるそうな面々ではあった。が、その3名ともにTOP8に残っているあたり、所謂「マージャン調整」は有効なのかもしれないと思える。

 秋元は軽快に《水蓮のコブラ》から《聖遺の騎士》のスタート。武田は《貴族の教主/Noble Hierarch》を置いて《水蓮のコブラ》を《忘却の輪/Oblivion Ring》するものの4マナ出る状態に至っても後続がない。

 いまのうちに盤面を掌握しておきたい秋元は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を呼び出し、+0能力で手札を整える。《精神を刻む者、ジェイス》を守るためにひとまず《聖遺の騎士》はブロッカーに残した。

 《活発な野生林/Stirring Wildwood》を含む5枚の土地と《貴族の教主》がある武田は《悪斬の天使/Baneslayer Angel》を召喚するが、秋元はすぐさま《精神を刻む者、ジェイス》の-1能力を使用して手札に返す。そして2枚目の《水蓮のコブラ》を置きながら《聖遺の騎士》で《霧深い雨林》を場に出してマナを増やし、2体目の《聖遺の騎士》をも召喚。墓地に土地がたまっているのでサイズはもう8/8だ。

 さすがにマリガン後のハンドではどうにもならなかった武田。金星は後日へお預けとなった。

秋元 2-0 武田

 

 最近は仕事の都合でなかなかマジックに触れないという河合。日本選手権予選もしっくりくるデッキが無く回避したのだが、今日は2-1と好調だ。

 向かい側に座る網はBJ Shopに集う「BJ組」の中心的なプレイヤー。こちらも仕事の都合でなかなか大会には参加できないらしいのだが、毎日仕事前に秋元と延々デュエルする姿が見られるような、努力派だ。

Game 1

 青白いランドを並べあう両者。先に動いたのは網で、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を唱え、河合のライブラリトップを確認した。河合は即座に《忘却の輪/Oblivion Ring》で対抗して、《地盤の際/Tectonic Edge》で後々厄介になりそうな《天界の列柱/Celestial Colonnade》を破壊する。網が続けて出した2枚目の《精神を刻む者、ジェイス》は、2枚目の《忘却の輪》で自分の《忘却の輪》を除外して対消滅させるという好プレイを見せる。

 しかし網はポーカーフェイスで3枚目の《精神を刻む者、ジェイス》。+0能力で3枚引くが、これに対し河合は冷静に《天界の列柱》での攻撃で忠誠度を0まで落とし、墓地に置かせる。

 その後は青白タップアウト同士のフルタップ合戦が行われ、網の《悪斬の天使/Baneslayer Angel》は《流刑への道/Path to Exile》、河合の《悪斬の天使》は《軍部政変/Martial Coup》、そしてそのトークンへは《審判の日/Day of Judgment》が放たれる。

 河合の秘密兵器《エメリアの天使/Emeria Angel》が場を制圧しだし、両者とも手札がすり減っていて勝負あったかと思われたのだが、なんとか《思考の泉/Mind Spring》に辿り着いたのは網。X=8で一気にアドバンテージを取り、潤沢な手札から《遍歴の騎士、エルズペス》《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》と連打。

 これに対する手が無かった河合は、網のライフを2までは削り落とすものの最後の一押しを《ギデオン・ジュラ》に阻まれてしまうのだった。まさに鉄壁。

河合 0-1 網

Game 2

 網は念入りにサイドボードを確認した。大会前にサイドボードを相談されていた為に、内容を知っていた私は4枚の《否認/Negate》と3枚の《光輝王の昇天/Luminarch Ascension》が投入されるものと思って見ていたのだが、網は《忘却の輪》と《白蘭の騎士》を各1枚サイドアウトして、《コーの奉納者/Kor Sanctifiers》と《流刑への道》各1枚を投入するに留めたようだ。

 河合の操るデッキは通常の青白タップアウト系のデッキよりもアタッカーの多めな構成で、1ゲーム目に登場した《エメリアの天使》の他にも《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》や《卓絶の達人/Transcendent Master》が投入されている。3ターン目の《卓絶の達人》は残念ながら《流刑への道》されたものの、続く《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》が《闘争の学び手/Student of Warfare》を2枚引き連れてきて、アタッカーが途切れない。

 網は地上の防御として《前兆の壁/Wall of Omens》と《白蘭の騎士》を設置しているが、Lv7に上がって二段攻撃を得た《闘争の学び手》をブロックして死んでいくしかない。そうして稼いだ時間で4マナ残しつつ《思考の泉》を打ち、ひとまず《審判の日》が場をまっさらにした。

 当然河合は温存していた2枚目の《闘争の学び手》を召喚。お互い土地が並んでいるので軽快にレベルアップさせるのだが、網は《遍歴の騎士、エルズペス》の加護を得た上で《流刑への道》をも唱え、2枚目の《闘争の学び手》も退場させた。

 《思考の泉》が投入されていないのかどうか、Xドローできない河合はどうしても網の物量に押されてしまう。2枚目の《思考の泉》が網に4枚の手札をもたらし、《悪斬の天使》が光臨すると、5点ドレインが始まってしまった。

 そのまま数ターンが過ぎ、網が3-1まで星を伸ばしてトップ8に一歩近づいた。

河合 0-2 網

 その後河合に話を聞いたところ、実は白単ビートダウン+《天界の列柱》《原霧の境界石》という内容だった。そこまで見抜いていた網のサイドボードテクだったとは、お見事としか言いようが無い。

 函館から片道4時間近く掛けて札幌のマジックイベントにしばしば参加してくれている三浦。そのデッキにはレギュレーションを問わずこだわりがあり、常にエルフと共にマジックを楽しんでいる。勿論今日も自慢の《ニッサ・レヴェイン》入りエルフデッキだ。昨日グリフォン厚別店で、仲間のプレイヤーにデッキ構築とプレイングのアドバイスを受け、「今日は自分の普段の実力よりも良い状態で参加できています、皆さんありがとうございます」と語ってくれた。

 一方、浅井は釧路在住のプレイヤーだ。今回は仕事の研修が札幌であり、日程が運良く噛み合って本日の参加となった。釧路では現在マジックのイベントがほぼ無いそうで、お兄さんと始めたマジックもなかなか外で遊ぶ場所が無く、当イベントの前に公式トーナメントに参加したのがいつだったか覚えてない程だ。

 両プレイヤー共、本当に楽しそうにマジックをプレイしてくれる。今日一日楽しんで、そしてできるだけ多くの賞品を持ち帰って貰いたいものである。

Game 1

 先攻の三浦が《東屋のエルフ/Arbor Elf》から《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》と一気にマナを伸ばす展開。負けじと浅井も《不屈の自然/Rampant Growth》で《平地/Plains》を場に出した。

 三浦は潤沢なマナベースから3ターン目には5マナをひねり出し、《酸のスライム/Acidic Slime》で《森》《平地》《巨森、オラン=リーフ/Oran-Rief, the Vastwood》と並んでいた浅井の土地から《巨森、オラン=リーフ》を破壊した。

 《山》を置いてナヤカラーを揃えた浅井はまず《長毛のソクター/Woolly Thoctar》を召喚。続くターンにも《野生のナカティル/Wild Nacatl》と《不屈の随員/Dauntless Escort》を唱えて盤面の優位を押さえに掛かる。

 いまいちアタッカーが出てこない三浦だったのだが、《ジョラーガの戦呼び/Joraga Warcaller》を多重キッカー2で唱え、更に《ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane》を呼び出す。一番上の能力を使用し、《ニッサに選ばれし者/Nissa's Chosen》が場に出た。勿論これも《ジョラーガの戦呼び》の支援を受けて、4/5に育っている。

 お互いの場にクリーチャーが並び、地上は膠着してしまった。こうなると回避能力のあるクリーチャーか、例えば《エルドラージの碑/Eldrazi Monument》のようなカードを有している方が有利になるのだが、お互いの手札にまだその姿は見えない。《ニッサ・レヴェイン》で見る見るうちにライフを得ている三浦が若干有利か。

 ここで浅井はトップデッキした《世界大戦/World at War》と《不屈の随員》の合わせ技で攻撃を仕掛けた。しかしライフに物凄く余裕のある三浦は笑顔で16点ダメージを受けた。これには苦笑するしかない浅井。

 そしてその返しのターンで2枚目の《ジョラーガの戦呼び》が多重キッカー3で唱えられ、6/6となった三浦のエルフ軍団が一撃で浅井を葬るのだった。

三浦 1-0 浅井

Game 2

 後手の三浦は《ジョラーガの樹語り/Joraga Treespeaker》を1ターン目に召喚し、2ターン目にも《東屋のエルフ》を2体召喚とこれまたロケットスタートを決めた。3ターン目の《酸のスライム》も《ビヒモスの大鎚/Behemoth Sledge》を破壊し、更に《カビのシャンブラー/Mold Shambler》で《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》を打ち倒す。

 完全に三浦のペースかと思われたのだが、《野生のナカティル》《不屈の随員》と並べての《霧を歩むもの、ウリル/Uril, the Miststalker》で反撃の狼煙を上げる浅井。

 しかし三浦は9マナで《ジョラーガの戦呼び》を唱え、一気に盤面を制圧に掛かる。5/5が4体と2/2に3/3がフルアタック。《不屈の随員》を使いながらのブロックでも15点のダメージを受けてしまった。

 手札が0の浅井はトップデッキに掛けるしかないのだが、残念ながら引いてきたのは《山》。そのままエルフ軍の総攻撃の前に撃沈した。

三浦 2-0 浅井

   

―― 「本日はお疲れ様でした、おめでとうございます」
加藤 「ありがとうございます」

―― 「今日使用したデッキと、それを選んだ理由を教えて下さい」
加藤 「俗に言うSuperFriendsで、一言で言うなら安定感です。2マナ圏のキャントリップ8枚が凄くデッキの潤滑油で、サイドで抜きすぎると事故って死にます」

―― 「今日一日を通して印象的だったプレイは何でしたか?」
加藤 「《光輝王の昇天/Luminarch Ascension》を相手と一緒に張り合って、両方カウンターが4個乗って天使を出し合った後、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》の最終奥義が発動して、《審判の日/Day of Judgment》打って殴って勝ちました」

―― 「日本選手権本戦への意気込みをお願いします」
加藤 「楽しんできます! アーティストサイン会ってやるんですか?」
編注:アーティストサイン会にはVolkan Baga氏とMike Bierek氏が来場予定です。

―― 「ちなみに写真にもあるとおり、もの凄い量のFoilカードですね」
加藤 「でも、集めてるのは”一応”土地だけです。今は《血の墓所/Blood Crypt》のFoilを募集中です」

―― 「ありがとうございました。本戦もがんばってください!」
加藤 「実力が伴わないのにデッキの強さで今日は勝ってしまったと思うので、本戦までには腕を磨いて北海道代表として恥ずかしくない戦いをしてきたいと思います」

―― 本日はマジックを始めて2ヶ月、プレミアイベント初参加でトップ8まで上り詰めた後藤さんに少しお話をいただきたいと思います。宜しくお願いします。
後藤 「宜しくお願いします」

―― 「後藤さんの今日のデッキは、今日フィーチャーされた対戦があったので、後日カバレージにも掲載されると思うのですが、同盟者デッキということで、これで大会に参加しようと思った経緯を教えてください」
後藤 「最初、マジックを始めたときに店長の小坂さんがくれたのが白黒同盟者デッキだったんです。そのうち赤とか緑のでかいクリーチャーを出すのが楽しくなってきてた所に、ストックホルムで9-0した同盟者デッキをその小坂さんが教えてくれて、じゃあこれを作ろうぜってことで、作り出したという感じです」

―― 「そして、そのデッキで今日日本選手権予選トップ8になるわけですが、調整などはどうやってしていたんですか?」
後藤 「ショップの周りの人達にいろいろ教えて貰って今の形になりました。FNMでも優勝したりできたんで、それなら大きいイベントらしいし賞品も凄いので日本選手権予選に出ようかなと」

―― 「今日一日を振り返ってどうでしたか?」
後藤 「ただただ疲れました。まだプレイングに関しては詰められる場所がいっぱいあるなぁと。」

―― 「今後の抱負を聞かせてください」
後藤 「今のプレイングではとてもこれ以上の上は目指せないというのを痛感しました。もっとプレイングを磨いていきたいと思っています」

―― 「ありがとうございました。最後に一言何かあればお願いします」
後藤 「次もがんばります!」

既に日本選手権への切符は手にしている両者。残すは78000円のトラベルマネーか、往復航空券のみかという格差社会だ。

ここまで勝ち上がってきた両者の技量を、とくとご覧あれ。

Game 1

先手の寺田がテイクマリガン。1ターン目に《貴族の教主/Noble Hierarch》をプレイしたが、1枚《広がりゆく海/Spreading Seas》されたこともあって4ターン目まで土地を置くのみとなってしまう。ちらっと手札を覗くと、更に4枚の土地が……。マリガン後ということもあって、かなり深刻なマナフラッドに陥ってしまっているようだ。

対する加藤は先述した《広がりゆく海》と《予言/Divination》でドローを伸ばし、《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》で寺田唯一のクリーチャーである《貴族の教主》を-2能力で破壊、その後も土地を置くことしかできないでいる寺田に6/6の《ギデオン・ジュラ》が襲い掛かった。それを《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》が後押しする。

なんとか引き込んできた《悪斬の天使/Baneslayer Angel》で盤面を押し返したいところだったが、無常にも《審判の日/Day of Judgment》が戦場を照らし、《ギデオン・ジュラ》が正に一人で全てをやってのけた。

寺田 0-1 加藤

Game 2

1ゲーム目は全く良い所の無かった寺田だったが、2ゲーム目は《貴族の教主》から《聖遺の騎士》と順調な展開。是非ともマジックをプレイして欲しいものだ。加藤もこれを押し留める《前兆の壁/Wall of Omens》を召喚し、フェッチランドで5/5まで育っていた《聖遺の騎士》をブロックしてひとまず役目は果たした。

先ほどの鬱憤を晴らすかのように寺田は《復讐のアジャニ》で加藤の土地を縛りに掛かる。プレインスウォーカーにしろ《審判の日》にしろ、4マナからが勝負の加藤にとってはこれはかなり厳しい展開。ライフは寺田17-7加藤。

なんとか《復讐のアジャニ》は《忘却の輪/Oblivion Ring》で彼方に消し飛ばしたが、寺田は追加で《不屈の随員》と《精神を刻む者、ジェイス》をも加えるブンブンモード。

僅かな期待を込め、延命の為にプレイした加藤の《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》には見た瞬間に手札から《否認/Negate》。

次のターンのアタックで死んでしまうことが確定した加藤は
加藤 「うーん、難しいな」
と、サイドボードに手を掛けながら何度も呟いた。

寺田 1-1 加藤

Game 3

寺田は緑マナが無いハンドをまたもマリガン。6枚になった手札にも緑マナを生み出せる土地が無く、痛恨のダブルマリガンとなってしまった。加藤は4枚の土地、《否定の壁/Wall of Denial》《瞬間凍結/Flashfreeze》《審判の日》の手札を7枚でキ-プした。

寺田はダブルマリガン後、2枚の土地にはめぐり合えたもののそこで土地枚数がストップした上に今度は白マナが無く、手札の《クァーサルの群れ魔道士》すら召喚できない。

 対する加藤は順調に土地を伸ばし、6枚並べてからの《遍歴の騎士、エルズペス》は即座に《否認》された。1ゲーム目とは違い、いまいち寺田の事故に漬け込めない。

そうこうしているうちに白マナも得て、土地が5枚まで伸びた寺田はまず《不屈の随員》。これを《瞬間凍結》で打ち消して対処した加藤は、寺田の後続《聖遺の騎士》も《忘却の輪》で処理。

だが寺田の《精神を刻む者、ジェイス》には対処することができず、無事寺田は+0能力を起動してドローを確認する。ここで《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》を引き当て即プレイして+1能力を起動。足りなかった赤マナも引き当てて、手札で腐っていた《復讐のアジャニ》が場に登場した。

加藤は《軍部政変/Martial Coup》X=8でトークンを生み出し、場にプレインズウォーカーが3体並ぶ寺田の場をなんとか切り崩そうとする。ブロッカーとして《貴族の教主》のみが立っている状態で、8体のうち4体で忠誠度3の《精神を刻む者、ジェイス》を攻撃、残りで忠誠度5の《復讐のアジャニ》を攻撃し、《精神を刻む者、ジェイス》を討ち取った上で《復讐のアジャニ》の忠誠度を1まで引き下げた。

ここで寺田が必殺兵器《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》を召喚。その後で《貴族の教主》1体で攻撃すると、これが通されて《エルドラージの徴兵》がエンチャントされる。《否定の壁》で受けた加藤のライフはごっそり削り取られたが、まだ死んではいない。ライフは寺田17-14加藤。

そして加藤はトークンで《復讐のアジャニ》を倒してからの《審判の日》。さらに《ギデオン・ジュラ》が援軍に駆けつけたが、寺田は《野生語りのガラク》からの象トークンと《精神を刻む者、ジェイス》2枚目で防御を固め、そう簡単には主導権を離さない。

加藤はここが勝負所と見たか、《野生語りのガラク》のトークン1体のみへ《審判の日》。これを通すと《ギデオン・ジュラ》に《精神を刻む者、ジェイス》がやられてしまう為、《否認》でカウンターするのだが、加藤は一気に2枚目の《審判の日》を唱える!

しょうがなく通すしかなかった寺田の《精神を刻む者、ジェイス》は《ギデオン・ジュラ》に倒され、加藤の後続が《復讐のアジャニ》だったこともあって、次々に寺田のクリーチャーが2体のプレインズウォーカーに倒されていく。

そしてダメ押しとなる《遍歴の騎士、エルズペス》が登場すると、寺田は苦笑しながらカードを畳むしかなかった。

そして日本選手権北海道予選、優勝は、加藤慎!

寺田 1-2 加藤

徴兵バントを操る溝渕、そしてプレインズウォーカーコントロールで勝ち上がってきた加藤。

Game 1

後手の溝渕が2ターン目に《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》を召喚する立ち上がり。続くターンに《霧深い雨林/Misty Rainforest》をフェッチしてして《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を呼び出した。+3/+3能力を起動して5点のアタックが通り、加藤のライフを15に引き落とした。

加藤は《予言/Divination》で手札を引き増しつつ《遍歴の騎士、エルズペス》を対消滅した。が、これでフルタップなのを見ると溝渕は2体目の《水蓮のコブラ》とフェッチランドから《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》を唱え、《水蓮のコブラ》が《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》と賛美で13/13となって加藤のライフは残り2点だ。

なんとかこの場を《審判の日/Day of Judgment》で流した加藤。溝渕の後続である《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》も《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》のバウンス能力で手札に返し、もう暫しの猶予を得た。

《水蓮のコブラ》を失った溝渕はマナがいまいち伸びず、戻された《聖遺の騎士》を出しただけでエンドとなってしまった。その上加藤の《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》が溝渕唯一の緑マナである《森/Forest》を縛り、次第に盤面は加藤のペースに。

4度呼び出された《聖遺の騎士》を《軍部政変/Martial Coup》X=6で流し、一転して攻勢に出る加藤。《天界の列柱/Celestial Colonnade》をもアタッカーに加え、溝渕のライフを一気に削り取る。

2回目のフルアタックが行われた後、残された溝渕のライフは3で、加藤がカウンターの3つ乗った《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》を指し示すと、溝渕はカードを畳んだ。

溝渕 0-1 加藤

Game 2

先攻の溝渕は幸先良く《貴族の教主》。続けて《聖遺の騎士》を呼び出した。手札には《否認/Negate》が握られている為、かなり安定したゲームプランになりそうだ。

《聖遺の騎士》に打たれた《流刑への道》は、長考の末通すことにした溝渕。《前兆の壁/Wall of Omens》で粘る構えの加藤に対し、《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》を2連続で召喚。加藤は《審判の日/Day of Judgment》を握っているのだが、溝渕も先ほど温存した《否認》がある。

果たして加藤の放った《審判の日》は《否認》されることとなった。

溝渕は更に《精神を刻む者、ジェイス》で攻撃に厚みを加えようとする。1度攻撃は食らってしまったものの、2枚目の《審判の日》は無事通ってきれいな場になった。ライフは溝渕18-13加藤。

溝渕はここで更に長考。6枚の土地と、3枚の手札が《悪斬の天使/Baneslayer Angel》《貴族の教主》《不屈の随員》という状況から、後者の2枚を唱えた。加藤はひとまず溝渕の《天界の列柱》に《広がりゆく海/Spreading Seas》をエンチャントする。

ここでついに8マナまで伸びた溝渕。フルタップの加藤に対して《エルドラージの徴兵》を手札から《不屈の随員》にエンチャント!

残りライフの少ない加藤は痛烈な一撃に耐えられなかった。

溝渕 1-1 加藤

Game 3

溝渕はまたも軽快に《水蓮のコブラ》をプレイするが、もうこりごりとばかりに加藤は《忘却の輪》で対処した。更に《貴族の教主》を2体追加してマナベースを確保する。

 ここまでに《広がりゆく海》を3連打してドローを進めた加藤は、《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》を唱えて+2能力を使用、丁寧にライフを守っていく。

《ギデオン・ジュラ》に対して殴りかかった後、《悪斬の天使》を加えたが、加藤の《精神を刻む者、ジェイス》が《悪斬の天使》を手札に返し、《ギデオン・ジュラ》の真ん中の能力が《不屈の随員》を屠る。

攻め手の途切れた溝渕は、再度《悪斬の天使》と、《クァーサルの群れ魔道士》を加えて状況の打開を図りたい所だが、《ギデオン・ジュラ》《精神を刻む者、ジェイス》に《復讐のアジャニ》まで参戦してしまうと全く攻撃が通らなくなってしまった。

そこに追い討ちの《軍部政変/Martial Coup》X-6!

まっさらになった盤面を《ギデオン・ジュラ》が走り抜けて、ライフは溝渕11-10加藤。

溝渕は引いた手札を一睨みしたが、次にトークンをも従えた《ギデオン・ジュラ》の攻撃に対応手段が無く、
溝渕 「ありがとうございました!」
と、言って潔く右手を差し出した。

溝渕 1-2 加藤

溝渕 「3戦目のマリガンミスが敗因です。他のデッキになら勝てるハンドだったんでついキープしちゃいましたけど、あのデッキ(加藤のPWコン)相手には有効牌が少なすぎましたね」

惜しくも日本選手権への切符は手に入らなかったが、溝渕はGP仙台にも遠征するそうで、そこでの好成績を期待したい。

そしてまずは往復航空券と日本選手権への権利を獲得した加藤、おめでとう!

上位卓の多くがIDを選択する中、唯一下当たりしてしまった木村。木村のオポーネントマッチパーセンテージがかなり低めな上、現在3-2な千葉のそれは最上位で、千葉が勝てば4-2が2人決勝に残るだろうという情勢だ。

木村は取り合えず「お願いします!」と叫んではみるものの、勝ちで抜ける千葉の首が縦に振られるはずもなく。開始前に「カズのデッキがいつものなら勝率は五分五分」と語ってくれた千葉。またもムーブメントを巻き起こし、今日のblogで叫び大口が見られるのだろうか。それとも、ベビーフェイスの木村が悪の枢軸を打ち砕くのか。

Game 1

 

千葉 「3マッチ連続で事故とかマジでないわー……」

開始早々マリガントラブルに襲われてしまった悪の枢軸。マリガン数がひとつ、ふたつ、そしてまさかのみっつ……と続くに連れて表情が曇りだす。

千葉 「俺これで土地と《吠えたける鉱山/Howling Mine》じゃなかったら時間ないし投了するわ」

そして千葉の手札には、土地が無かった。

千葉 0-1 木村

Game 2

 

千葉 「俺、もうこのマッチ取れないよ……」

らしからぬ弱音まで吐くことになってしまった千葉。

そして開いた7枚の手札には、3枚の境界石と、……0枚の土地。

無事6枚になった手札には《島/Island》と2枚の境界石、そしてキーカードの《吠えたける鉱山》が。マリガン後にしてはかなりの良ハンドでゲームがスタートした。

 ……のだが、《吠えたける鉱山》を置いた返しのターンに、2枚の《強迫/Duress》が木村から放たれ、千葉の手札をズタズタにした。その上で《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》が頼みの《吠えたける鉱山》を破壊する。

手札に《蔵の開放/Open the Vaults》があるので、6マナまで伸びれば《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》や《時間のねじれ/Time Warp》からの勝ちも見えなくも無い。更に《真髄の針/Pithing Needle》で《時の篩/Time Sieve》を指定されたが、木村が全くクロックを用意できていないのも追い風だ。

千葉は《万華石/Kaleidostone》、《万華石/Kaleidostone》と繋いで奇跡の《吠えたける鉱山》! だがこれも返しのターンに「パルス引いた!」と叫んだ木村に叩き割られる。

それでも諦めない千葉のドローは《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》。真ん中の能力で《吠えたける鉱山》を場に出した。木村はまだ《怒り狂う山峡/Raging Ravine》1枚のみしか千葉にダメージを与える手段を持たず、起動して《求道者テゼレット》目掛けて攻撃、どうしようもない千葉は《求道者テゼレット》を墓地へ置いた。

が、なんとここで《蔵の開放》を再度引き込んでいた千葉、《万華石》を生け贄に捧げながらこれを唱えて3枚ドロー、場に《吠えたける鉱山》が3枚マナも7マナと、《真髄の針》さえ処理できれば勝てる場になってきた。

木村はやっと殴れるクリーチャーを場に出し始め、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》で千葉のライフを落としに掛かる。3枚目の《強迫》で公開された千葉の手札は、3枚の土地と《ガラス塵の大男》《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》。残りライフ9の千葉はもう何かを引いてくるしかない。

2枚目の《ガラス塵の大男》と《ヴァレロンの異国者》を唱えて、1枚目の《ガラス塵の大男》の能力を誘発させた。5点の攻撃が通って木村のライフも実はあと9。千葉は《ガラス塵の大男》で殴り勝つプランだ。返しの木村のフルアタックは、《吠えたける鉱山》で4枚引いたうちにあった《天使歌/Angelsong》でいなして勝利への道筋を繋ぐ。

そして千葉のメインフェイズ、2枚のディストリ……ではなくアーティファクトを唱えると、木村はカードを片付けた。

千葉 1-1 木村

Game 3

マリガンの恐怖に怯える千葉。今回は無事に1枚の土地と境界石、そしてまたも《吠えたける鉱山》が手札にある良ハンドを手に入れた。

のだが、2マナでるターンになぜか《吠えたける鉱山》ではなく《万華石》を優先してプレイした千葉。結果的に木村が《大渦の脈動》を持っていて《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》に打ってくれたのでナイスプレイだったのだが、意図したプレイだとしたら流石の一言である。

木村は4ターン目に《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》。これでまたも《大渦の脈動》がめくれて《原霧の境界石》を再度破壊。千葉のマナベースを攻め立てる。更に追加のアタッカーとして《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》を唱え、これらがフルアタックを何度か繰り返すと、一度は《天使歌》で凌いだものの力及ばず、ジャンドという王道の前に邪道は膝を屈することとなった。

千葉 1-2 木村

―― 「あの時先に《吠えたける鉱山》を出さなかったのは《大渦の脈動》を警戒した意図的なプレイだったんでしょうか?」
千葉 「あれは100%出さない。結局《万華石》で1ドローできるから最序盤に相手に1枚引かせる理由が無いし、勿論《大渦の脈動》で割られた時のリスクを考えてもそう。自分の手札と相談だけど、さっきの手札はドローを伸ばしたい手札だったからね」

いやはや、マジックは奥が深い。

3勝1敗ラインでの対決となった両雄。共に北海道のトーナメントマジックシーンの先頭を走る人物であることは自他共に認める所だろう。

2回もの日選出場経験のある秋元のデッキは今大会でも猛威を振るっている徴兵バント。大会開始前に本人にデッキ選択の理由を聞いたのだが、「ブン回りで勝てるデッキ」ということでの選択だそうだ。

ここ暫くスタンダードで好成績を残している古豪の角井は、最近愛用している変身デッキを持ち込んで来た。良く見る変身デッキのレシピと比べると2枚採用されている《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》が印象的だ。

4-2でもオポ上位が1人決勝へ残れるかどうか、確実に決めるならこの対戦を勝って次はIDをしたい所。プレインズウォーカーが多く含まれるデッキ対決となったが、より多くのプレインズウォーカーの力を借りることが出来た者が、より勝利に近づく事は想像に難くない。

Game1

2ターン目に《貴族の教主/Noble Hierarch》から《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》へと繋いだ秋元。角井は3ターン目の《聖遺の騎士》を《忘却の輪/Oblivion Ring》で対処し、続けて《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を自陣に呼び出し、1/1トークンを生産してターンを終了した。

秋元は《変身/Polymorph》での即死を防ぐため、まずトークンに対して《精神を刻む者、ジェイス》の-1能力を起動、バウンスしてから2体目の《聖遺の騎士》。角井も《変身》はすでに手札にはあるのだが、1枚のインスタント除去(例えば《流刑への道》)でプランが崩れることを恐れてまだ動かないようだ。《思案/Ponder》を唱えて手札の充実を図った。

これを見て秋元は《貴族の教主》での1点パンチを継続した後、《聖遺の騎士》を残したまま《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》を唱えた。+2能力を起動してアタックを強要する。

どうせアタックするなら《ギデオン・ジュラ》も道連れにしたい角井、《天界の列柱/Celestial Colonnade》をクリーチャー化し、《遍歴の騎士、エルズペス》の+3/+3能力をトークンに使って攻撃を仕掛けた。だが、これは温存しておいた《聖遺の騎士》から《地盤の際/Tectonic Edge》を導き出して、《天界の列柱》を追放しようとする。角井はこれに対応して《天界の列柱》から白マナを生み出し、《聖遺の騎士》を再度追放した。

このやり取りの後ターン終了を宣言した角井。秋元は返しのターンに6マナへ到達して《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》を召喚する。フルタップの角井はこれをどうにもすることが出来ず、《ギデオン・ジュラ》が賛美2つを受けて18/18での攻撃を仕掛けると、《貴族の教主》1点パンチとフェッチで16まで落ち込んでいた角井のライフはマイナスまで落ち込んだのだった。

秋元 1-0 角井

Game 2

先攻の角井は《カルニの庭/Khalni Garden》からのスタート。秋元は2ターン目の《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》でまずは先手後手を入れ替え、続くターンに2体目の《水蓮のコブラ》を出してからフェッチランドセットと起動で3マナを生み出して《不屈の随員/Dauntless Escort》というブン回り状態だ。

しかし角井の手札も実はテンパイなのだった。手札に《変身》があり、秋元がフルタップの今こそ《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》爆誕のチャンスだったのだが、生憎手札にはタップインの土地しかない。泣く泣く《天界の列柱》を置いてターンエンドする。

秋元は後続として《精神を刻む者、ジェイス》で角井のライブラリトップを確認した。角井もプレインスウォーカーの力を借り、《遍歴の騎士、エルズペス》が駆けつけて《カルニの庭》トークンを+3/+3。これが《精神を刻む者、ジェイス》に殴り掛かって忠誠度を2まで削り落とした。更なる布石として《目覚めの領域/Awakening Zone》を張る。

6マナに到達した秋元だが、手札から《失われたアラーラの君主》は出てこなかった。《水蓮のコブラ》と《不屈の随員》が《遍歴の騎士、エルズペス》を討ち果たすが、なかなか角井のライフに大きく訴えることが出来ない。次のターンにはフルアタックでやっと5点のダメージを与え、《聖遺の騎士》を追加して場を固めに掛かる。ライフは秋元20-9角井だ。

5枚の土地と落とし子トークン1個、手札に《変身》と《瞬間凍結/Flashfreeze》に《否認/Negate》を抱える角井はまだ動けない。秋元の味方として馳せ参じている《精神を刻む者、ジェイス》が睨みを利かせている為、《変身》できるクリーチャーが《引き裂かれし永劫、エムラクール》と《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》である角井は動きようが無い。

秋元の攻撃宣言に対して《天界の列柱》を起動してなんとかライフを守ろうとしたが、その《天界の列柱》での白マナで《聖遺の騎士》に《流刑への道》を打とうとした所で秋元が力強く《否認》!

日本選手権出場経験者の秋元が4-1まで星を伸ばし、次戦でのIDで決勝進出を濃厚にした。

秋元 2-0 角井

バントビートダウンデッキを操る渡辺は、最近流行の兆しのある《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》型のようだ。

寺田も実は同キャラの徴兵バントなのだが、普段仕事の都合でショップに通えない為、調整はもっぱらMOでしているそうだ。 元々徴兵バントはMO発なデッキということで有名で、寺田も徴兵バントを使い出してからレーティングを100以上上積みしてるらしく、かなり今後にも期待できそうだ。

ここで勝ったプレイヤーが一気に決勝へと近づくこととなる。

Game 1

先手の渡辺は2ターン目に《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》、3ターン目にも《水蓮のコブラ》を置いてから《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》をプレイして起動した。5マナを生み出して更に《極楽鳥/Birds of Paradise》と《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》を追加するというロケットスタートだ。

後手の寺田も良いスタートを切った。《極楽鳥》《貴族の教主/Noble Hierarch》でマナブーストして、《不屈の随員/Dauntless Escort》をまずは召喚。バント同系の様相を呈してきた。

《ロウクスの戦修道士》で攻撃してから《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》を場に加えた渡辺に対し、寺田は《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》を唱えてからの《不屈の随員/Dauntless Escort》1体で攻撃。渡辺はこれをインスタントタイミングで除去することができず、山札から探し出して付けられたエンチャントは勿論《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》だ。

返しのメインフェイズでも対応策がなかった渡辺は13/13に2発目を殴られるよりはと、投了を選んだ。

渡辺 1-0 寺田

Game 2

寺田 「これはブン回ったほうが勝ちだなー」 渡辺 「俺も徴兵するしかなかった……!」

鮮やかな4ターンキルを決めた寺田。このまま3連勝を決めたいところだが、初手が1ランド+《貴族の教主》で渋い顔。ところが意を決してキープすると最初のドローが《山》で、《聖遺の騎士》を唱えるなかなかの立ち上がりとなった。

渡辺はこの《聖遺の騎士》を《バントの魔除け/Bant Charm》で除去してターンエンド。なんと《沸騰する小湖/Scalding Tarn》をも引き込んだ寺田は4マナに到達し、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を助太刀に呼び出した。このジェイスは3枚のカードを寺田にもたらし、クロックの低い渡辺の攻撃陣からの打撃に耐えて場に残ることとなる。更に《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》をも追加して《貴族の教主》を指定し、渡辺のマナを縛りにかかった。完全に状況は寺田のペースだ。

手札に《悪斬の天使/Baneslayer Angel》と《失われたアラーラの君主》を持っているものの、マナがいまいち足りない為に思うように動けない渡辺。寺田がアタッカーとして召喚した《聖遺の騎士》をまたも《バントの魔除け》で除去する。

しかし《精神を刻む者、ジェイス》とフェッチランドのおかげで全く寺田の後続は途絶えなかった。3種類目のプレインズウォーカーとしてご登場頂いたのは《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》!

この《野生語りのガラク》がトークンを生み出してエンドした為、フルタップの隙をついての《天界の列柱/Celestial Colonnade》の攻撃で《精神を刻む者、ジェイス》はなんとか打ち落とした。

……が、6マナに到達した寺田は当然のように《失われたアラーラの君主》。3/3のビーストトークンが突如13/13へと成長し、予選通過へ貴重な3連勝目を積み上げた。

渡辺 0-2 寺田

 

後藤は「BJ SHOP 札幌店」でマジックをプレイしている大学生プレイヤーだ。ピンクのフリースが良く似合うジャニーズ系のイケメンで、おっとりしたキャラクターも相まって、ショップのアイドル的存在だと言われている。マジックを始めたのは3ヶ月前だが、彼の操る同盟者デッキはBJ SHOPで開催されているFNMでも好成績を残し、自信を深めての日本選手権予選参戦となった。

対する香川は多少アグレッシブ寄りの白青デッキ。メインから搭載されているジャンドメタの《真心の光を放つ者/Devout Lightcaster》が印象的だ。前回カバレージにご協力いただいた時もそうだったが、本名は大人の事情でいろいろ不味いということで、今回も仮名でのカバレージ登場となる。手馴れたカード捌きのベテランは、新鋭にマジックの難しさを教えてやるつもりだ。

Game 1

1ターン目に《ジャングルの祭殿/Jungle Shrine》、2ターン目に《ヘイラバズのドルイド/Harabaz Druid》とブンブンモードには程遠い最序盤となってしまった後藤。しかし香川も残念ながら初動が2ターン目の《清浄の名誉/Honor of the Pure》と遅い展開だ。

後藤はなんとか4ターン目に《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》を唱える。だがこれもデッキに4枚しか入っていない非クリーチャーの《ナヤの魔除け/Naya Charm》がめくれてしまい、更なる後続の《城壁の聖騎士/Talus Paladin》には香川の手札から《流刑への道/Path to Exile》が飛んだ。

5ターン目に引いてきた《真心の光を放つ者/Devout Lightcaster》を「ただのバニラクリーチャーだな……」と苦笑しつつ召喚し、攻撃してきた《血編み髪のエルフ》と相打ちすることを選択した。追加のクリーチャーとして《エイヴンの擬態術士/Aven Mimeomancer》を唱えるが、これもブロックに回して《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》を討ち取った。

土地が6枚並ぶに至り、ここまで《カザンドゥの刃の達人/Kazandu Blademaster》と《オラン=リーフの生き残り》を2体追加するのみに留まった後藤。香川が力強く唱えた《悪斬の天使/Baneslayer Angel》の前に対応策が無く、ただでさえ殆どダメージを与えられていない上に、見る見るうちに回復されてしまう。

香川はそのまま《悪斬の天使》で攻撃を続け、後藤も《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》を唱えてはみるものの対応策が無く、1本目は香川が先取した。

後藤 0-1 香川

Game 2

先攻は後藤。2ターン目に《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》を唱えるが、土地が2枚で1ターン止まってしまった。無事

香川は《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》でのマナ加速から素早く《悪斬の天使》を召喚。ここはサイドインした《流刑への道》で事なきを得るのだが、続けて更に2体目の天使が香川の場に舞い降りる。

手札に《悪斬の天使》への対抗策が無い後藤は、なんとか場だけでも押し返しておきたいところなのだが、《カビーラの福音者/Kabira Evangel》は続く《城壁の聖騎士》を唱えたのにレスポンスで《流刑への道》されてしまった。だが、次のターンに唱えた《血編み髪のエルフ》が《カビーラの福音者》を連れてきたことで、プロテクション白を与えながら9点の絆魂ダメージを与える事に成功し、まだ勝負の行方は解らない。ライフは後藤22-13香川。

香川は《悪斬の天使》でアタックするのみでターンを返したが、返しのターンに後藤がプレイしたのは《血編み髪のエルフ》。これが《忘却の輪/Oblivion Ring》を呼び出し、《悪斬の天使》をも封じ込め、またも大ダメージを与えながらライフを回復する。

こうなってしまっては《審判の日/Day of Judgment》でも打たないとどうにもならない。《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》も追加して物量で押し勝った後藤は、同盟者デッキの本領発揮でゲームカウントをタイに戻した。

後藤 1-1 香川

Game 3

先攻の香川は4枚の土地に《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》、《悪斬の天使》《エイヴンの擬態術士》というハンドを少考してキープ。それを聞いた後藤は即座にキープを宣言した。

3ゲーム目にして2ターン目にやっと《カザンドゥの刃の達人》を唱えた後藤。3ターン目、4ターン目には続けて《アクームの戦歌い/Akoum Battlesinger》を自軍に加えて総攻撃。なんと香川のライフはこれで2まで落ち込んでしまった。

香川 「すげー激しいんだけど……」

この猛攻をなんとか《審判の日》で一掃した香川。初手になかったこれを引き込んでいるあたり、なかなかに好調だ。ダメ押しで出てきた3体目の《アクームの戦歌い》に対しても《流刑への道》で対処、続けて出てきた《カザンドゥの刃の達人》は除去できないものの《悪斬の天使》を出して防御を固め、ここからの逆転に掛ける展開だ。

しかし後藤はにっこり笑って《カビーラの福音者》を手札から香川に見せ、そのプロテクション能力で白を宣言すると、香川は敗北を認め投了したのだった。

後藤 2-1 香川

田中 理澄 (Finals2008 Top8)

「昨日はグリフォン厚別店でプレリに参加して《稲妻の精霊》だったんですが、今日は散々でした。なんと戦跡が《胞子頭の蜘蛛》でした。シールドは脅威の《花の壁》で、ドラフトは2没しちゃいました。でもエルドラージ覚醒は楽しい! 昔だったらこの色とこの色が強いからこのカラーで組むとかしてたんですけど、この環境はカードプール全部の色が強そうに見えて、組むのが難しいです。0-4してる間毎ラウンド色を変えてました。まぁ0-4なんでどれが正解か解らないです。最後に一言ですか? エルドヤージ!」

井上 真尚

「今日も昨日もシールドは2-2で、今日のドラフトは3-0しましたよ。思ったよりエルドラージでるよね。10はきついけど7-8マナくらいは余裕っしょ! 《ウラモグの破壊者》も出したし、9マナ7/7の落とし子4つサクったら出るやつも強いよ。あと緑のアンコで6/6トランプルになるレベルアップの奴とか、レベルアップでマナ出せるエルフもダメだね。マジックプレイヤー足る者、睡眠時間も、就活も、両方サクって昨日今日参加したけど、来週のローンチは、就活ワンチャンかな。プレリは発売前だからお祭り的に楽しみたかったしね」

渡辺 歩夢

「BJ代表として今日は来ました。昨日はシールドとオープンデュエルに出て、今日はバイト帰りにオープンデュエルとドラフトしました。まあ勝ったり負けたりでしたね。BJの人達はなんかみんないけたらプレリ行きますとか言ってたから、昨日3人しかBJ組がいなかったから今日はたくさん来てるんだろうなと思って、バイト帰りにがんばって来たのになんでお前らいないの? 一回月寒公民館まで来たのに誰かいるかなと思って雨の中BJまで呼びに行った俺に謝れ。そして菅間ありがとう」

Sudさん(仮名)

「今日は思ったより勝てたんで嬉しかったです。シールドと午後シールドとオープンデュエルをやって、オープンデュエルは全勝しちゃいました。早めに来て、早めに帰ろうと思ってたのに、気がついたらもう夜でした。これもマジックが面白いからですよね。SDW的にはエルドラージ覚醒は夢が詰まりまくりでやばいです。やはり特に注目のカードは15マナの人ですね。プレリプロモで3枚ゲットして、賞品のパックを開けたらもう1枚でたんで4枚入れてデッキを組みます。次期SDWに期待して下さい。レガシー的な意味で。」

 3人残っている全勝者のうち、2人が対戦することとなったテーブルがフィーチャーエリアへ招待された。ここまで双方いろいろあったようで、フルタップの《不死の天使》を《沼》トップして《血の復讐》で除去して勝ったり、レベルアップデッキに当たって《重大な落下/Momentous Fall》を使いまわして10枚くらいドローして勝ってみたり、タフネス12に《血の復讐》打って12ライフ失ってみたりと、エルドラージ覚醒を満喫した様子。

 最後に勝利で気分良く帰れるのは果たしてどちらだろうか。  

Game 1

 力強くキープを宣言した田澤に対し、力強くマリガンを宣言した中野。6枚の手札は即キープした。

 お互いに《森》を2枚置いて《巣の侵略者/Nest Invader》を召喚。次に田澤は《山》を置きながら落とし子トークンを生け贄に捧げて4マナを生み出し、《野心の発動者/Wildheart Invoker》を召喚した。4マナ4/3といいスペックな上にフィニッシャーにもなる良カードだ。それに《猪の陰影/Boar Umbra》をエンチャントして7/6とし攻撃を加えた。中野はたまらず《巣の侵略者》でチャンプブロックする。

 続くターンの攻撃に対しては接死持ちの《短刀背のバジリスク/Daggerback Basilisk》を用意。族霊鎧効果で《猪の陰影》が破壊され、場に4/3が残った。

 中野は4/3を《絶望の誘導/Induce Despair》で除去しようと試みるが、4マナ起こしていた田澤は構築でも注目されるレア、《重大な落下/Momentous Fall》を合わせ、4枚引いて3ライフ回復。潤沢な手札からまずは《エムラクールの孵化者/Emrakul's Hatcher》を唱えて、落とし子トークンを3個生み出した。続けて《肉喰らうもの/Rapacious One》をも加える。

 手札が2枚しかなく、場でも負けている中野は腕組みして困り顔だ。《大群守り/Broodwarden》に《面晶体のマトリックス/Hedron Matrix》を装備して9/9とするが、田澤は落とし子トークンを2つ生け贄に捧げ、ドヤ顔で《熱光線》x=9。ブロッカーのいなくなった中野に《肉喰らうもの》が5点のパンチを加え、落とし子トークンが5体出る。

 苦し紛れに中野が召喚した《ゾフの影》も、ノータイムの《よろめきショック》。

 中野「ま、負けました……」

田澤 1-0 中野

Game2

 中野が先手。《進化する未開地/Evolving Wilds》から《森》をフェッチして《虚身の勇者/Null Champion》。田澤は《茨噛み付き/Bramblesnap》で迎え撃つことにした。レベルアップして4/2になった《虚身の勇者》を相打ちに取るかと思われたが、田澤はスルーして4点を受け、返しに《巣の侵略者》で生み出した落とし子トークンを従えた《茨噛み付き》が攻撃。中野は2点のダメージを受ける。

 次のターンの4/2の攻撃は2/2で相打ちに取った田澤。4マナ残してターン終了。中野は《戦争売りの戦車/Warmonger's Chariot》を《胞子頭の蜘蛛/Sporecap Spider》に装備させて田澤のライフは残り13。中野は18。

 しばらく殴られていた3/7到達を止める2/4《オンドゥの巨人/Ondu Giant》を唱え、まだ場になかった《沼》をサーチしてきた田澤。黒緑の2色デッキを使っている中野は《大群守り》を戦場に追加した。ジャンドカラーの田澤は何もせず8マナ立ててターン終了。

 《大群守り/Broodwarden》に《戦争売りの戦車》を装備して攻勢にでようとした中野だったが、ここにも《血の復讐》が突き刺さる。そして《野心の発動者》をトップデッキ! 先ほどお伝えしたとおり、田澤は8枚の土地をコントロールしている。

 これを生かしてはおけない中野は少し考えてから《絶望の誘導》を唱えた。が、1ゲーム目と同じ悪夢が中野を苛む。またも《重大な落下》で4ドロー3ライフと、重大すぎるアドバンテージを得られてしまった。

 更に《現実離れした回顧/Surreal Memoir》! 田澤の墓地のインスタントは《熱光線》《血の署名》《重大な落下》。どれを戻されても辛い上に、反復でもう一枚戻ってくるのが確定しているのが何よりも厳しい。

 残りライフが9の田澤はできれば《血の復讐》は戻したくないようで、すぐさま《熱光線》で中野のクリーチャーを除去。また1/3のダイスロールが行われ、今度は中野の希望どおり《血の復讐》が戻された。中野はまだライフが19ある。

 田澤はいろいろとクリーチャーを追加するのだが、中野のクリーチャーがサイズが大きくいまいち攻め切れない。その間にこつこつとダメージを積み重ねた中野。最後は2/1飛行が止まらず、田澤の残りライフは2点だった。

田澤 1-1 中野

Game 3

 残り時間が3分を切り、お互いかなりの高速デュエルとなった。

 動きが早すぎて追えないので簡単に概要のみで失礼したい。

 お互い数体のクリーチャーを展開した後、田澤は《炎の覆い/Wrap in Flames》で中野のブロッカーを除去しつつブロックできなくさせ、アグレッシブにフルアタック。そして強力レアの《溶口/Magmaw》を唱え、その能力で《薄暗狩り/Gloomhunter》を除去した。更に《よろめきショック/Staggershock》で除去を重ねる。

 ここで延長ターンに突入。中野の場には7ライフゲイン7/7の《ペラッカのワーム/Pelakka Wurm》のみ。田澤は《バーラ・ゲドの蠍/Bala Ged Scorpion》と《溶口/Magmaw》、そして《オンドゥの巨人/Ondu Giant》。

 《現実離れした回顧/Surreal Memoir》をここでトップデッキした田澤はすぐさまプレイ。戻すカードが《よろめきショック/Staggershock》しかなく、これが手札に戻った。自分のターンにまず《よろめきショック》を解決して《虚身の勇者》を除去、《現実離れした回顧》が解決されてまた《よろめきショック》が田澤の手に戻る。しかしこれがラスト5ターン目だ。

 《ペラッカのワーム》での7ライフゲインが響き、残念ながらライフを削りきることが出来なかった田澤。全勝対決は接線の末引き分けとなり、3人目の全勝者も下当たりして負けてしまったそうで、全勝者なしの日曜日となった。

田澤 1-1-1 中野

 ずっと関東でマジックをプレイしていた香川。札幌でトーナメントに出るのは今日が初めてらしいのだが、今日は大人の事情で仮名でのカバレージ登場となった。対する増田は札幌で継続的にイベント参加しているプレイヤーで、ゲームに負けてしまっても笑みを絶やさないナイスガイだ。

Game 1

 先手の増田は《山》2枚と《平地》1枚の3枚で土地が止まってしまう。取り合えず《暁輝きの発動者/Dawnglare Invoker》に《エランドの陰影/Eland Umbra》をエンチャントした。

 香川は《島》以外の4色の土地をナチュラルに並べつつ《胞子頭の蜘蛛/Sporecap Spider》で防御を固め、《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》をレベルアップして2/3飛行とする。これを攻撃に参加させ、増田の《暁輝きの発動者》でブロックされてから《帰化》で《エランドの陰影》を破壊し制空権を確保しようとする。

 しかし増田はレアパワーで対抗。《卓絶の達人/Transcendent Master》をLv6まで育てながら2枚目の《エランドの陰影》をエンチャント。一歩も譲らない構えを見せる。

 これに対し、《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》Lv4にして4/4飛行警戒にした上で、香川の手札から飛び出したのはなんと《狂乱のサルカン/Sarkhan the Mad》!

 小粒なクリーチャーを召喚して生贄にしながら《狂乱のサルカン》の能力でドラゴントークンを量産モードに入る香川。増田はなんとか1体目を《失脚/Oust》で対処したが、《セラの天使》とドラゴンを止める術がなく、そのまま投了した。

増田 1-0 香川

 レアデッキ対決の様相を呈してきたこのマッチだが、「サルカン出してもエルドラージ2体出されて負けた」「《コジレックの職工》でエルドラージ釣られて負けた」と、エルドラージ覚醒ならではのパワーゲームを前マッチでは繰り広げたらしい。シャッフルしながらそんなやり取りが行われ、和やかな雰囲気で第2ゲームへ。

Game 2

 1ゲーム目とは逆に、増田が《岸壁安息所の騎士》を召喚してから《硫黄石の魔道士/Brimstone Mage》を戦場に出した。ティムが育つと流石にゲームにはならないので、香川は即座に《血の復讐/Vendetta》で除去。そして《岸壁安息所の騎士》も《護衛の任務/Guard Duty》で防衛を持たせ、攻撃に参加できなくさせた。

 しかし増田の勢いは納まらず、《隊商の随員/Caravan Escort》を唱えてから《英雄の時/Time of Heroes》を貼り、Lv5まで上げて7/7に育て上げる。これを止める為に香川が用意したのは《不死の天使/Deathless Angel》! やはりお互いかなりのレアデッキだ。

 香川のライフが残り10なのを確認した増田は《裏切りの本能/Traitorous Instinct》を唱え、《不死の天使》を奪って7/7と共に攻撃。両方通すと死んでしまう香川は《命取りの出家蜘蛛》で7/7をチャンプブロックした。《大群守り/Broodwarden》も加えてライフを守る。

 増田は《魂うねりの精霊/Soulsurge Elemental》に《団旗の刃/Pennon Blade》を装備してはみたものの、場と手札では残り3点の香川のライフを削ることができず、トップデッキ待ちのようだ。

 香川は《夢石の面晶体/Dreamstone Hedron》でドローを稼ぎ、更に守りを固めるのだが、赤白デッキの増田が本体火力を引くまでに勝負を決めたいところだ。《岸壁安息所の騎士》は引いたが、《不死の天使》の能力を使うために白マナを温存せねばならず、4枚の平地でレベルアップがしづらい状況になってしまう。

 もうこうなったら押し切るしかない増田は《エムラクールの手/Hand of Emrakul》を戦列に加え、なんと2体目の《エムラクールの手》をも追加。4体並んだファッティでフルアタックだ。香川は4体のクリーチャーをコントロールしているが、滅殺でパーマネントをじりじり削られる上に、このフルアタックの前では《不死の天使》の能力を1回使っても2体クリーチャーを差し出さなければならず、いかんともし難い。

 最後まで《不死の天使》は不死だったものの、数とサイズの双方で攻めた増田が最後の香川のライフを飲み込んだ。

増田 1-1 香川

Game 3

 《隊商の随員》《岸壁安息所の騎士》、《隊商の随員》をレベルアップ、と軽快に動いた香川。増田は《刺し込む光/Puncturing Light》で今後ガンになりそうな《岸壁安息所の騎士》を除去し、初速をスローダウンさせる。そして《溶岩気の発動者/Lavafume Invoker》、《戦装飾のシャーマン/Battle-Rattle Shaman》と場を構築し、神話レアの《卓絶の達人》がまたも登場させたが、香川は《悪性の強打/Virulent Swipe》を放ちひとまず事なきを得た。

 増田はまたも後続が途切れない。《コーの綱投げ/Kor Line-Slinger》、2体目の《溶岩気の発動者》を召喚し、俄然攻勢に出る。

 香川は《胞子頭の蜘蛛/Sporecap Spider》、Lv3の《隊商の随員》、落とし子トークン2体をコントロールし、《コーの綱投げ》を《血の復讐》した上で、《隊商の随員》をLv5にしようとするものの、これには対応して《熱光線》をx=6で放つ増田。

 その後増田も攻撃しながら《隊商の随員》をLv5まで育て、《戦装飾のシャーマン》の能力で+2して7点ダメージ。チャンプブロックで落とし子トークンを失っていた香川は《胞子頭の蜘蛛》しかコントロールできておらず、香川はスルーして本体で受ける。

 ライフを詰められた上に、増田に8マナ揃えられて《溶岩気の発動者》を発動されてしまっては万事休す。レアデッキ対決にあって、最後の勝負を決めたのはコモンの大技となった。

増田 2-1 香川

Game 1

 後手の末澤が《ジョラーガの樹語り/Joraga Treespeaker》を1ターン目に召喚する立ち上がり。《戦争売りの戦車/Warmonger's Chariot》を装備して攻撃すると、吉永は《沼》《山》《平地》のマナベースから《刺し込む光/Puncturing Light》でこれを除去する序盤となった。

 返しのターンに無事4マナまで到達した吉永は《逃亡した虚身/Escaped Null》を戦場に出し、続くターンにも《ラガークトカゲ/Lagac Lizard》を召喚と、まずまずの展開だ。実は《森》しか手札に無く、色事故の危険があった末澤だったのだが、引き込んだ《山》から赤マナを得て《ラガークトカゲ》をお見合いさせ、こちらは《戦争売りの戦車》を装備する。《逃亡した虚身》との相打ちを嫌ってそのままエンドを宣言した。

 地上は固めた吉永はここで待望のアタッカー、飛行持ちの3/4である《静寂の守り手、リンヴァーラ/Linvala, Keeper of Silence》を召喚した。8枚の《森》と1枚の《山》をコントロール、手札も5枚ある末澤だったがこれに対処する事ができず、3点クロックを掛けられてしまう。

 ならば地上で殴り勝つしかない。緑ならではの大型クリーチャーとして5/3《踏みつけの仔》を自陣に加えるのだが、吉永は4点火力《炎の斬りつけ/Flame Slash》でこれを除去、さらにクロックを強めるべく《ハイエナの陰影/Hyena Umbra》を《静寂の守り手、リンヴァーラ》にエンチャントして4/5飛行とする。

 《静寂の守り手、リンヴァーラ》の攻撃に晒され続けた末澤のライフは残り5。《エムラクールの手/Hand of Emrakul》、《アクームの岩足/Akoum Boulderfoot》と連続で召喚はできたものの時既に遅し。最後には《二股の稲妻/Forked Bolt》が末澤を焼き焦がし、1ゲーム目は吉永が先取した。

吉永 1-0 末澤

Game 2

 入念にサイドボードをする両者。お互いテイクマリガンして、6枚づつのスタートだ。

 1ゲーム目に負けた末澤は後手を選択。3色デッキの吉永に後手のドローを与えず、ゲーム速度が遅めなシールドという環境を考慮した作戦だ。《巣の侵略者/Nest Invader》を召喚してまずは落とし子トークンを1個生み出した。

 吉永は先手1マリガンにも関わらず3ターン目には3色揃う幸運に恵まれた。しかし、1ゲーム目と同じく初動が4ターン目の《逃亡した虚身/Escaped Null》は良い展開とは言えない。

 末澤は公式プレビューにも登場したレアカード、《欠片の双子/Splinter Twin》を《巣の侵略者》にエンチャントして、落とし子トークンを大量生産しようとするが、即座に《二股の稲妻》が飛んでくる。吉永のデッキは除去色3つの組み合わせな為、大量の除去と少量の大きめなクリーチャーを搭載した所謂「除去単」のような構成かもしれない。もしそうであるならば、シールドでは非常に強力なデッキになりやすいアーキタイプだ。《エムラクールの孵化者/Emrakul's Hatcher》をも加えて、末澤にプレッシャーを掛けていく。

 末澤は落とし子トークン2つと6枚の土地をコントロール。《戦争売りの戦車》を装備させた《ラガークトカゲ》を攻撃に参加させてみるが、《エムラクールの孵化者》のお供にチャンプブロックされた。

 まだまだ除去の尽きない吉永、まずは手札から《爆発的天啓/Explosive Revelation》。残念ながら捲れたカード2マナの《ルーンの苦役者/Runed Servitor》で《ラガークトカゲ》は除去できなかったが、1枚目に見えた《沼》も含めて2枚の無駄カードを消化できた上に、まだ《炎の斬りつけ》を手札に握っているのは心強いところ。

 末澤は《踏みつけの仔》《アクームの岩足》を召喚。《踏みつけの仔》は《逃亡した虚身》と相打ち、《アクームの岩足》は地上に睨みを利かせる。手札が0になっていたが、なんと《エムラクールの手》をトップデッキ! 一気に場の優位を得て、次のターンには7/7《エムラクールの手》と6/7《アクームの岩足》の2体で攻撃を宣言した。

 これを受けて吉永は3/3が2体と3/5《エナートゥのゴーレム/Enatu Golem》の3体でブロックを宣言。末澤が除去を持っていると1:3交換された上に《エムラクールの手》が残ってしまう危険な賭けではあったが、この賭けに吉沢は勝利し盤面は均衡、まだ勝敗の行方はわからない。ライフは吉沢15-7末澤。

 そしてラウンドの終了時間が過ぎ、延長の5ターンへ突入。場で有利な末澤が残り3回の攻撃機会で吉永のライフを削りきれるかの試合になった。1本目を取っている吉永はこのまま耐え切ればマッチに勝利できるはずだったが、男らしく3/5《エナートゥのゴーレム》で攻撃を続ける。本体で受けた末澤のライフは3まで落ち込むのだが、《炎の覆い》が吉永のブロッカーを排除して一挙に11点のダメージを与えた。《最後の口づけ/Last Kiss》を握っていた吉永だったが、これには耐え切れずに1-1での引き分けとなった。

吉永 1-1 末澤  

 当サイトに掲載されているプレリリースのカバレージをよくご覧になっている皆さんはご存知の通り、札幌ではオープンデュエルに参加するプレイヤーが多く、「日本一熱いオープンデュエル会場」が謳い文句となっている程だ。今回のエルドラージ覚醒プレリリースイベントでも、朝からのシールドに参加した延べ人数が2日間で60名程度であるのに比べ、オープンデュエルは30名弱と非常に高い割合となっていて、最早札幌プレリの定番イベントとして定着したと言えるだろう。

 しかし、それも順風満帆だったという訳ではない。最初の数回こそ物珍しさからかある程度の参加者がいたものの、その後は3-4名しか参加しない時期が続き、プレイヤーをお待たせしてしまう時間が長かったり、マッチメイクにも苦慮する事が多かったものだ。それが現在の盛況となったのは、継続的な告知と、デッキを構築することに関して壁を感じているライト層への働きかけが奏功したのではないかと感じている。

 だが、イベントを企画する側としてそれよりも重要なのは、そういったライト層のプレイヤーがオープンデュエルにどういった楽しみを見出しているのか理解し、その手助けをする事だ。マジックはそれだけで楽しいゲームであることは疑いようが無いが、その楽しさをライト層のプレイヤーに伝える事はなかなか難しい。

 阿部和幸は札幌プレリで行われるオープンデュエルに最初期から毎回ずっと参加し続けているプレイヤーで、まさに「オープンデュエルの番人」とも言える存在だ。彼なら、オープンデュエルの楽しさと、その楽しさをどうやって伝えたらいいのかを教えてくれるに違いない。そう思った筆者はロングインタビューのお願いを阿部に伝えた所、快諾して頂いた。

―― イベントの最中にお時間を頂いてありがとうございます。宜しくお願いします。

阿部 「宜しくお願いします」

―― 阿部さんが初めてオープンデュエルに参加されたのはいつですか?

阿部 「多分ローウィンだと思います。マジック自体を始めたのが第10版だったんですけど、第10版のプレリには出ていないので。僕をマジックに誘ってくれた友達が、オープンデュエルっていう初心者向けのイベントがあるよと教えてくれたんです。そのときはプレリっていうイベント自体あることを知りませんでしたね」

―― ローウィンのオープンデュエルに参加したときの印象はどうでしたか?

阿部 「その時は自分でデッキを作るというレベルまで達していなかったと思うので、エントリーセットで遊ぶオープンデュエルはやっぱり入りやすかったです。最初の頃は欲しいと思うエントリーセットの色がなかなか当たらなくて、逆に一番いらない普段使ってない色のやつばっかりを引いてしまったので、使い方が解らず対戦も負けが多かったです。」

―― 負けると楽しくなくなってしまう事もあると思うのですが、阿部さんはその後もほぼ毎回オープンデュエルに参加されています。それは何故ですか?

阿部 「自分でデッキを作らなくてもいいというのが一番大きいです。それと、たとえばシールドだと凄く強いカードプールと、凄く弱いカードプールがあるじゃないですか。オープンデュエルだとエントリーセットの強弱は多少ありますけど、そこまで大きな差じゃないと思うんです。そのみんながある程度同じ条件で、あまり良く知らない構築済みデッキで対戦するのが面白いと思います」

―― 初めて参加したプレリでオープンデュエルに参加して、何回か参加した後にシールドやブードラに移る人の方が割合としては多いように思います。将来的に阿部さんはシールドのイベントに参加したいと思ってますか?

阿部 「今の所オープンデュエルがある限りは、こっちが優先だと思ってます。シールドをした事がないというのもありますが、時間制限があったりするのもありますし、自分のペースでできたほうがいいかなと思います。そもそも今のオープンデュエルで十分楽しんでいるので、満足してますね」

―― もうかなりの回数オープンデュエルに参加されている阿部さんですが、今日のオープンデュエルはいかがでしたか?

阿部 「今日は昔やってて、最近また復帰したようなプレイヤーの方がたくさんいて、初めて見る方々と楽しく遊べたのが良かったです。初期の頃よりは、今の方が対戦しても勝てるようにもなりました。まだまだですけど、上達してる感じは多少ありますね」

―― 楽しさの内容をもう少し詳しくお聞かせください。

阿部 「まず欲しいエントリーセットが当たるかどうかがわくわくしますね。で、欲しいのが当たった時は嬉しいし、中に入ってるパックからデッキに合うカードが出ればそれも楽しいですし。さっきもお話しましたが、初めて見る方々と遊べるのも楽しいです。それに他のオープンデュエル常連の方々と久しぶりに話したりするのもいいですね。シールドの上手な人達もよくオープンデュエルに参加してるので、対戦中も対戦が終わった後にもプレイングやデッキ構築を教えて貰えるのも参考になるので嬉しいです。そういう上級者の人とガチ勝負じゃなくて、和気藹々というか、気軽に遊べる事もなかなか無いので、ここもオープンデュエルの良い所だと思っています。シールドだとあんまりそうはならないですよね?」

―― そうかもしれません。対戦中に教えたりは絶対しませんよね。(笑) 阿部さんがオープンデュエルに対してもっとこうなって欲しいと思っている事などはありますか?

阿部 「とにかく多くの人に参加して欲しいです。一時期固定メンバー数人でオープンデュエルをしていた時期もあったので、新しい人が来てくれるとなんとなく嬉しいんです。そういう意味で今日は4-5人僕の知らない方がいらっしゃったので、凄く良かったと思います。あとは、4/25に東区民センターである『オープンデュエルの続きやろうぜ』みたいなイベントがあるじゃないですか。(編注:オープンデュエル参加者が、プレリの時に使ったエントリーセットを持参し、それに2パックを追加して強化した上でもっとオープンデュエルをしよう!という企画) そういう、オープンデュエル絡みのイベントをもっと開催して欲しいとは思ってます。もちろん無理にとは言いませんけど(笑)」

―― わかりました、ありがとうございます。では最後に阿部さんにとってオープンデュエルとは何ですか?

阿部 「僕にとってオープンデュエルは、例えばショップのデュエルスペースのようなものかもしれません。普段は友人の家で固定のメンバーと遊んでいるので、知らない方々と遊べる場所がここなんだと思います」

 1時間にも及ぶインタビューを終えて、終始思慮深そうな語り口でオープンデュエルの楽しさを語ってくれた阿部。ともすれば、忘れがちになってしまう「マジックを始めた頃の気持ち」を我々に思い出させてくれる内容だったように思う。

 マジックへの向き合い方、楽しみ方は人それぞれで、それをお手伝いすることで喜んで貰えるのが主催者やスタッフの楽しみであるとするならば、もっとこういった視点での企画をしていくことが、この素晴らしいゲームであるマジック・ザ・ギャザリングの輪を広げていく事に寄与するのではないだろうか。

 残念なことに、オープンデュエルが開催されているという話や、参加したプレイヤーの話を各地で聞く事は少ないのが現状だ。参加者が集まらず、オープンデュエルの開催を断念してしまった主催者各位も少なからずいるだろう。しかし、もう一度やり直してみるだけの価値はあると思う。 初めて会場に来てくれたプレイヤーが、「楽しかった!」と言って帰っていくのを見る度、他地域にもこういったプレイヤー達は沢山いるはずだと思うのである。

 普段はシールドやブードラを楽しんでいる皆さんにも、是非お願いしたい事がある。オープンデュエルに参加して、他の参加者と真剣勝負ではないマジックを楽しんで欲しい。もしその対戦相手があなたの手助けを望んでいるなら、優しくデッキ構築やプレイングを教えるのもいいだろう。それがあなたの交友の輪を広げ、あなたが大好きなマジックが多くの人に広まっていく事にも繋がるはずだ。

 そして、まだ会場に来た事の無いプレイヤーの皆さんへ。オープンデュエルは手軽で、気楽にマジックを楽しむ事ができる素晴らしいイベントだ。もし最寄のプレリリース会場でオープンデュエルが行われているなら、是非一度参加して欲しい。そこには、普段身内で遊んでいるマジックとは違った楽しみが必ずある。(文中敬称略)

 ただ2人のみとなった全勝者同士の対戦がフィーチャーエリアに招待された。札幌マジックに詳しい諸氏や、当サイトのカバレージを熟読しているマニアックな諸氏はご存知かもしれないが、2人とも過去にフィーチャーされた事のあるプレイヤーで腕も確かだ。お互いデッキもかなり強いらしい。

 強力なデッキと、強力なプレイヤー。事実上の決勝戦。

 舞台は整った。

Game 1

 1ターン目からレアをプレイしたのは加藤。《闘争の学び手/Student of Warfare》を召喚する。残念ながら白マナを生み出す土地は1枚しかないが、3ターン目には無事にLV3に育ち3/3先制攻撃となって角井に一撃を加えた。更にLV系クリーチャーの《ハリマーの波見張り/Halimar Wavewatch》を自陣に加え、それらとシナジーのある《勇者のドレイク/Champion's Drake》をも追加する青白飛行デッキの「ブン周りモード」だ。

 黒白タッチ緑デッキを操る角井は《失脚/Oust》でひとまず《闘争の学び手》を山札の2枚目に追いやって、《目覚めの領域/Awakening Zone》を配備し落とし子トークンを増やしていくことにした。追加のクリーチャーとして用意した《ゾフの影/Zof Shade》で攻撃すると、すぐさま加藤の《強打/Smite》が飛んでくる。

 ここまでの経過で《ハリマーの波見張り》をLV3に育てた加藤は攻撃を継続、《勇者のドレイク》を追加して激しく攻め立てる。

 戦線をまともに構築させて貰えなかった角井は、ガンとなる4/4飛行の《勇者のドレイク》を《死骸孵化/Corpsehatch》で除去しようとしたが、加藤は華麗に《長魚の陰影/Eel Umbra》を瞬速で唱えて実質無効化した。

 角井は「もう負けたな」と呟き、次のカードを見て場を片付けた。

角井 0-1 加藤

Game 2

 先手を取った角井は4ターン目の《マキンディのグリフィン/Makindi Griffin》が初動と重めのスタートだったが、5ターン目のアクションは《カラストリアの血の長、ドラーナ》だ。タップ要らずの除去能力を持つ非常に強力なレアを目の前にしてもなお、冷静に《魂の従者/Soul's Attendant》での1点ゲインを忘れない冷静さを見せる加藤。

 4/4飛行の《カラストリアの血の長、ドラーナ》に何体かのクリーチャーを除去された上に数発殴られ、「ドラーナゲーかー」とボヤきつつ、4枚の手札を持ちながら4マナ立ててターン終了を宣言した。

 この怪しい動きを警戒した角井は、《カラストリアの血の長、ドラーナ》を攻撃に参加させずにLV0の《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》のみで攻撃し、《ゾフの影》と《コーの綱投げ/Kor Line-Slinger》を追加。加藤は2点のダメージを受け、ターン終了時に《逆行/Regress》で《カラストリアの血の長、ドラーナ》をバウンスした。

 続けてメインフェイズに《ドレイクの陰影/Drake Umbra》を《闘争の学び手》にエンチャントした後にレベルアップ、6/6飛行とする。角井は7枚しか土地をコントロールしておらず、《カラストリアの血の長、ドラーナ》の能力で6/6を倒すには1マナ足りなかったのだが、《予言のプリズム/Prophetic Prism》で引いたカードは2枚目の《失脚》というナイストップデッキ。

 加藤はライフが10残っている為、次のターン負けてしまうことは無いはずだったものの、ヘッドジャッジから残り時間15分のアナウンスを聞くと、「次のゲームやりましょうか」と角井に言った。

角井 1-1 加藤

Game 3

 お互いのデッキの強い回りを見せ合う熱戦となったこのマッチ。優勝者を決めるこのゲームにも好勝負を期待したかったのだが、加藤は痛恨のダブルマリガンに見舞われてしまう。とはいえそれでも、加藤のデッキは素早い展開も可能だ。デッキが応えてくれれば、まだ希望はある。

 しかし角井のデッキも遅い訳では無かった。《カザンドゥの牙呼び/Kazandu Tuskcaller》《コーの綱投げ/Kor Line-Slinger》《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》と展開し、加藤の《灯台の年代学者/Lighthouse Chronologist》を対象に《バーラ・ゲドの蠍/Bala Ged Scorpion》の能力を使用して除去した。更には容赦無く象トークンも戦列に加えていく。

 こうなってしまうと2枚少ない手札が響いてきてしまう。加藤は《イキーラルの先導/Ikiral Outrider》と《ジュワー島の小走り/Jwari Scuttler》しか場に残せず、この速攻を受け止めることは叶わなかった。

角井 2-0 加藤

土曜日の全勝優勝、エルドラージ覚醒1/2Boxを手にしたのは角井 昭一!

 今年から札幌の大学に通っている喜多。地元岩見沢にはショップが無いそうで、今までは地元の友人と通販で買ったパックを使い遊んでいた。今後は大学の帰りにフライデーナイトマジックにも参加したいそうで、各会場で彼の顔を見る事があるかもしれない。

 吉尾は札幌で行われるリミテッドの大会には毎回顔を出してくれるプレイヤーだ。自他共に認めるリミテッドスキーは、手馴れた捌きでデッキを念入りにシャッフルしている。その腕前を披露し、まずは緒戦を勝ち上がる事ができるだろうか。

Game1

 喜多は1ターン目に新《強迫》と噂される注目カードの《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》を唱え、吉尾の手札から《勇者のドレイク/Champion's Drake》を捨てさせた。吉尾は返しの2ターン目に2枚目の《勇者のドレイク》を召喚し、続くターンに2枚で止まったかに見えた土地も《予言のプリズム/Prophetic Prism》でのキャントリップで無事《島/Island》をドローして事無きを得た。

 《コーの綱投げ/Kor Line-Slinger》《前兆の壁/Wall of Omens》と並べてから、レア装備品の《面晶体のマトリックス/Hedron Matrix》を場に出して、喜多は硬い防衛網を構築したのだが、吉尾が1枚だけコントロールしている《山/Mountain》と《予言のプリズム》を使って生み出した赤マナ2つで唱えたのは、成長するドラゴンこと《カルガの竜王/Kargan Dragonlord》だ!

 しかし喜多はそれを軽々と上回る。殺されない天使とは俺のこと《不死の天使/Deathless Angel》! 更に7マナ7/7に7ライフゲインだ、《ペラッカのワーム/Pelakka Wurm》!!

 マナがある限り破壊されない天使が、LV8まで育ったドラゴンをがっちりキャッチ、そしてマナコスト分パワーとタフネスを上昇させる《面晶体のマトリックス》が7マナ7/7に装備され、吉尾を蹂躙せんと襲い掛かる。  

 残念ながら除去呪文の手持ちが無かった吉尾は《護衛のゴーマゾア/Guard Gomazoa》に《団旗の刃/Pennon Blade》を装備して必死に受けるダメージを減らそうとするが、《ペラッカのワーム》のスペックは現在なんと14/14トランプル。エルドラージもびっくりのデカブツだ。吉尾の《護衛のゴーマゾア》もマジックの数値ではないような強大さの前では、焼け石に水としか言いようが無い。

 喜多のマナが無い隙を突いて呪文を連打し、天使にはなんとかご退場願った吉尾も、結局LV8ドラゴンをチャンプブロックに参加させる羽目になってしまい、デッキの強力さを見せ付けた喜多が1ゲーム目を先取した。

喜多 1-0 吉尾

Game 2

 エルドラージ覚醒のシールド戦は、前評判どおり巨大なクリーチャーが乱舞する環境のようだ。プレイヤーの皆さんには是非大味と言わず、でっかいクリーチャーで相手をぶん殴る爽快感を満喫して貰いたい。もしあなたがぶん殴られるのが快感だと言うなら、2倍お得かもしれない。

 そんなどうでもいい話はともかく、先ほどまで青赤デッキだった吉尾は白緑デッキにチェンジしたようだ。喜多の巨大クリーチャー陣に対抗する為の作戦だろう。流石はリミテッドプレイヤー、軽いフットワークだ。

 《ジョラーガの樹語り》をレベルアップさせてマナブーストした喜多は、またも《ペラッカのワーム》を召喚した。ライフレースを有利にしながらトランプル付きのデカブツがついてくるこのカード、本当に強い。

 なんとか反撃の狼煙を上げたい吉尾を待ち受けていたのは、12枚の土地だった。流石のリミテッダーもこれでは如何ともし難く、ワームの咆哮の前にまたも昇天してしまうのだった。

喜多 2-0 吉尾

 元札幌在住のカナダ人であるクリスは現在岩手に住まいを移している。近くにショップが無く、日常的なマジックからは離れ気味だが、今日は札幌で行われるコンサートを観に来るついでにプレリリーストーナメントに参加してくれた。ちなみに出演する歌手は川田まみだそうで、日本通ぶりは物凄い。

 向かい側に座っているのが長身の外国人ということで、少々緊張気味な表情な加茂。最近多い所謂「復帰組」の彼は久しぶりのイベント参加だ。普段は仲間内での対戦が主なものの、今日は仲間と一緒ではなく、単身での参戦となった。2人とも、是非トーナメントマジックを楽しんでいって欲しい。

Game 1

 先手のクリスは2ターン目に《森/Forest》と《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》からマナを生み出して《ルーンの苦役者/Runed Servitor》。強力なカード揃いのエルドラージ呪文が投入されている匂いがぷんぷんするスタートだ。対する加茂は《コーの精霊の踊り手/Kor Spiritdancer》に《エランドの陰影/Eland Umbra》をエンチャントして2/8クリーチャーとし、まずは防御を固めた。

 皆さんご存知の通り、エルドラージ覚醒はエンチャント呪文も特徴的だ。クリスは強力なエンチャントなら俺にもあるぞとばかりに《ドレイクの陰影/Drake Umbra》を《戦慄の徒食者/Dread Drone》にエンチャントする。7/4飛行という巨大なクロックを用意された加茂の手札には対処できるカードがない。

 除去を引くか地上で圧倒するしかないのだが、《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven》くらいしか召喚できず、落とし子トークンを生成する呪文を数枚唱えるのみだ。チャンプブロックすらままならず、凄い勢いでライフが失われていく。

 その上クリスは《エルドラージの寺院》から2マナを生み出しフルタップで《コジレックの職工/Artisan of Kozilek》を戦場に呼び出す。7/4飛行が5回攻撃して、10/9+滅殺2が2回攻撃すると加茂は投了した。

クリス 1-0 加茂

Game 2

 1ゲーム目はサンドバッグ状態となってしまった加茂には、いい手札を期待したい所だったが、お互いに1回マリガンを宣言し札は6枚となった。白緑タッチ黒の加茂は1,2ターン目は動けず、初動はレアカードの《目覚めの領域/Awakening Zone》。更に《成長の発作/Growth Spasm》を唱え、6ターン目には土地6枚とトークン3個を用意する事に成功、マナを高速で確保した。ビッグマナ系の構築だろうか?

 クリスも序盤の動きは鈍く、最初のクリーチャーは《戦慄の徒食者/Dread Drone》だ。お互いに殴れないターンが続くが、双方マナは潤沢な為にいつエルドラージ呪文が唱えられてもおかしくはない。

 が、14マナ生み出せる状態に至ってもクリーチャーを何も召喚しない加茂は、明らかにマナフラッドに陥ってしまっているようだ。クリスの4/1と2/1《孤独な宣教師/Lone Missionary》がこつこつ殴る状況だ。

 勢いに乗るクリスは《戦慄の徒食者》を戦闘で相打ちさせた後、《コジレックの職工/》で回収してアドバンテージ差を広げ、相手を圧殺しようと戦線を強化する。

 ここでやっと《エムラクールの手/Hand of Emrakul》を引いてきた加茂は、それを公開しつつ《絶望の誘導/Induce Despair》で10/9を除去することに成功。ところがカナダ人はお返しに《死骸孵化/Corpsehatch》で《エムラクールの手》にご退場頂き、主導権をがっちり離さず攻撃を続行する。ライフはクリス24-13加茂。

 不運にも加茂はその後もセットランドゴーが続いてしまった。落とし子トークンでブロックしてからの《強打/Smite》で最後の抵抗をしたが、《血儀式の発動者/Bloodrite Invoker》の8マナ能力3点ドレインがフィニッシュブローとなった。

クリス 2-0 加茂

 そろそろ雪祭りシーズンのここ札幌。外界は一面の銀世界に覆われているが、幸いにも大雪に見舞われる事もなく、数多くのプレインズウォーカー達が無事会場の東区民センターに到着した。冬期間のイベントでは、容易に公共交通機関がストップしてしまう為、この0回戦に勝利出来た事をお天道様に感謝、と言った所だろうか。

 ワールドウェイクの世界がジャンドに満たされた現スタンダード環境に一体どのような影響を与えるのか、近年ここ札幌でも大きな盛り上がりを見せているエターナル環境に激震を走らせるニューフェイスは存在するのか、カードリストを見ているだけでも浮き立つ気持ちを抑えられない皆様には、思う存分新しい呪文を唱えて頂こう。そのお手伝いをするべく、今回も総勢6名のスタッフがサポートに走り回る予定だ。

 マジックにあまり慣れていない方にお勧め、エントリーセットを使い、予め構築済みのデッキをスタッフと一緒に調整してデュエルできる「オープンデュエル」、6つのブースターパックからオリジナルのデッキを作って対戦する「プレリリースシールド」という2つのイベントを主軸に、昼からでも夕方からでも楽しめる「ブースタードラフト」や「午後からシールド」も加えて、皆様のご参加を心からお待ちしている。


土曜日
ラウンド1 庭山 歩 vs 青柳 竜馬
ラウンド3 福山 啓祐 vs 池田 一人
ラウンド4 木村 一生 vs 三浦 卓磨
ジャッジから見るワールドウェイク 小畑 志央

日曜日
ラウンド1 大高 直人 vs 藤崎 善行
ラウンド3 千 龍哉 vs 井上 清崇
ラウンド4 加藤 慎 vs 井上 真尚
会場にいる人に聞きました
・中野 甫
「俺ワールドウェイクノータッチだけどいいんですか? 夕方会場について、レガシーとエクテンを知り合いと回して遊んでました。ドラフトがやれたらと思って来てみたものの、参加できなかったのが残念です。エクテンは今シーズンは回さない予定だったので、Zooと発掘デッキで遊べたのは楽しかったですね。今日はこの後友達とご飯食べて帰ります」

・荒木 渉
「スタッフとしてプレミアイベントに初めて参加しました。自分はレガシーの大会(MagicFightClub)を主催しているのですが、スタッフとしてもプレイヤーとしてもそんなに長くマジックに関わっている訳ではないので、多くの経験をされている牧野さんやスタッフの方々と一緒に仕事をするのは、自分にとっていい経験になるのではないかと思ったのが動機でした。いつも自分がしている事と大きく違うと思った事はありませんでしたが、いくつか取り入れたい部分も見つかり、いい経験になったのではないかと思います」

・吉永 啓亮
「朝からのシールドと、午後からのシールド2つに参加しました。戦績は1-3と1-2だったんですけど、デッキが弱かった訳じゃないんじゃないかと思うんです。ちょっと相手の土地渡りに噛み合われたのと、まあ、相手が強かったんでしょうね(笑)。ワールドウェイクは多重キッカーが使ってて面白いですよね。後半も無駄にならないし、その分でM10よりも長引いた時の試合が接戦になりやすくていいです。個人的な好みとしてはもう少し使いやすい全体除去があればよかったのにと思います。一発逆転が好きなので(笑)」
 流石はミスタープレリリース、加藤は今回も当然のような顔をして全勝テーブルに座っている。レーシック手術をしてまさに視界も良好だ。

 勘のいい方はお気づきになられたかもしれない。「くらげ」こと井上は、先ほどフィーチャーされた井上(兄)の弟だ。出たレアが全部噛み合ったという自慢のレアデッキで、プレリ男に勝負を挑む。


Game1
 赤黒デッキの加藤と、青黒デッキの井上。

 ややマナフラッド気味な加藤は土地は並ぶが、決定的なクリーチャーを引いて来ないようで、井上が戦場に召喚した《ハグラのクロコダイル/Hagra Crocodile》1体のみに《湿地での被災/Marsh Casualties》を打つような展開だ。が、後続の1回キッカーされた《泥地の吸血鬼/Quag Vampires》も《燻し/Smother》して、1/1や2/2で細かくダメージを積み重ね、3/2飛行までたどり着く。

 序盤もたついた上に、出すクリーチャー全てに対処されてしまった井上はデッキを片付けて次のゲームの為にシャッフルを始めた。

加藤 1-0 井上


Game2
 井上は《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》、2ターン目《腐敗したゼンディコン/Corrupted Zendikon》即攻撃とアグレッシブにライフを削りに行く。しかし3枚目の土地が手札に無いようで、

 井上「(引いたカードを見て)引けよ!」

 といいつつターンエンド。

 そんな井上を尻目に、最強2マナコモンクリーチャーこと《板金鎧の土百足/Plated Geopede》に《信頼おける山刀/Trusty Machete》を装備して上陸攻撃をする加藤。更に《グール・ドラズの死霊/Guul Draz Specter》をも加えた。

 井上はここで《猛火の松明/Blazing Torch》をドロー、場に出して《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》に装備してから《グール・ドラズの死霊/Guul Draz Specter》を除去するが、まだ2枚で止まってしまった土地が引けない。

 やっとの思いで《ハリマーの深み/Halimar Depths》を引いてきて山札を並び替え、土地には巡り合えたものの、

 加藤「まだだー!!」

 と気勢を上げつつ場に出していた最強3マナアンコモンクリーチャーこと《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk》が《信頼おける山刀/Trusty Machete》を装備して攻撃、ライフレースで絶対的な優位に立たれてしまった。加藤という男は本当に容赦が無い。

 その後4/5飛行絆絆接死というバケモノが数度攻撃して、ゲームはあっさりと終わってしまった。

加藤 2-0 井上


 ワールドウェイクプレリリーストーナメントを制したのは、王者の貫禄を見せ付けた加藤 慎!
Game1
 お互いに《島》と《沼》を順調に置きながらクリーチャーを並べ、地上が睨み合いになった所で、千の《ギザ蜂の群れ/Jagwasp Swarm》と井上の《沼のぼろ布まとい/Bog Tatters》が軸をずらして攻撃を通そうとする。

 青黒デッキの両者から《墳墓の呪詛/Tomb Hex》や《猛火の松明/Blazing Torch》などの除去が乱れ飛び、地上に3/3や1/4などが並んで消耗戦の様相を呈して来た。数で上回る千の地上軍団を微妙に止められなくなっていた井上はライフを1まで低下させるが、コントロールしている《無謀な識者/Reckless Scholar》と《潮力の精霊/Tideforce Elemental》がまだもう少しだけ時間を与えてくれそうだ。

 が、《鞭打ちの罠/Whiplash Trap》が千の手札から放たれ、その細い希望の糸もぷつりと切れてしまった。

千 1-0 井上


Game2
 波に乗る千は、序盤から《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》《グール・ドラズの吸血鬼/Guul Draz Vampire》《天空のアジサシ/Welkin Tern》というクリーチャー陣を、《破滅の槌/Hammer of Ruin》で強化して構築済みデッキばりのビートダウンを仕掛けた。

 これに対して飛行クリーチャーを防ぐ手段が無い井上は、やっと出せた《マラキールの血魔女/Malakir Bloodwitch》も1点しかドレイン出来ず、その上《破滅の槌/Hammer of Ruin》を装備した《天空のアジサシ/Welkin Tern》をブロックして相打ちとしてしまう。

 千は追加のクリーチャーとして《空の遺跡のドレイク/Sky Ruin Drake》と《腐敗したゼンディコン/Corrupted Zendikon》を準備、《空の遺跡のドレイク》が《破滅の槌》を持って4/5飛行となり、残り6となっている井上に襲い掛かる。

 どちらにしても飛行に対抗できるカードが早急に欲しい井上がプレイしたのは《無謀な識者/Reckless Scholar》と、期待は持てるもののいまいちピリッと来ず、結局最後まで飛行と《破滅の槌》のコラボレーションをどうにもできなかった井上。がっかりした表情で投了を宣言して、デッキを片付けた。

千 2-0 井上
 インベイジョンの頃マジックをプレイしていたという大高は、ゼンディカーからまたマジックに触れるようになった復帰組だ。今日は奥様と一緒に会場へ足を運んで頂いたのだが、普段は2人でマジックを遊んでいるそうで、正直うらやましい限りである。奥様はオープンデュエルに参加されていて、是非今日帰った後もワールドウェイクの世界に浸って欲しいものだ。

 対する藤崎は札幌レガシー界では名の知れたプレイヤーで、先日も50人規模で行われた大会を《ミシュラのアンク/Ankh of Mishra(4ED)》を搭載したフルバーンで優勝するという好成績を収めている。プレリは今回が初らしく、リミテッド環境には余り慣れていないとの事だが、その腕前を存分に発揮することだろう。


Game1
 藤崎が《境界線の隊長/Perimeter Captain》、大高が《クラーケンの幼子/Kraken Hatchling》を召喚するという0/4を並べあう立ち上がりとなった。先手を取ったのは藤崎、4/2の《破壊者のゼンディコン/Crusher Zendikon》で0/4を乗り越える準備をし、《コーシの荒廃者/Cosi’s Ravager》の上陸で本体へとダメージを通していく。

 逆に大高も、このプレリリース中各所で活躍している強力な装備品の《帆凧/Kitesail》を《湿地を縫う者/Marsh Threader》に装備して、航空戦力のいない藤崎へプレッシャーを与えた上で、《霊気の想像体/AEther Figment》をキッカー込みで召喚した。このブロックされづらい2体のパワー3クリーチャーは心強い。

 無事《巡礼者の目/Pilgrim’s Eye》で3/1飛行を相打ちに取り、《霊気の想像体/AEther Figment》に削りきられてしまう前になんとかしたい藤崎は《天界のマントル/Celestial Mantle》を《コーシの荒廃者/Cosi’s Ravager》にエンチャントして押しに掛かったが、これは温存されていた《イオナの裁き/Iona’s Judgment》が突き刺さる。

 本来なら《霊気の想像体/AEther Figment》を有している大高の方が有利なはずなのだが、ライフを攻められている為にブロックに回らざるを得ない上に、クリーチャーを引いて来ないのが痛く、毎ターン自陣にクリーチャーを加える藤崎に数で上回れてしまった。

 最後は満を持して5体でフルアタックを仕掛けた藤崎が、残りライフ3の大高を投了に追い込んだ。

大高 0-1 藤崎


Game2
 お互いにゆっくりとした展開となった第2ゲーム、またも攻勢に出たのは藤崎だった。3/3先制攻撃の《戦いのハルダ/Battle Hurda》《ゼクター祭殿の探検/Zektar Shrine Expedition》起動、《雨雲の翼/Nimbus Wings》付きの《コーの地図作り/Kor Cartographer》と並べて、大高に襲い掛かる。

 なんとか対抗しようと《麻痺の掌握/Paralyzing Grasp》と《ゴーマゾア/Gomazoa》で防御を固めるのだが、またも《天界のマントル/Celestial Mantle》が飛行付きの《コーの地図作り/Kor Cartographer》にエンチャントされてしまう。

 頼みの《ゴーマゾア/Gomazoa》も《イオナの裁き/Iona’s Judgment》で除去された大高は28点が倍になって56点となった藤崎のライフと5/6飛行の前に打つ手がなく、そのまま1ゲーム目と同じカードにやられてしまうのだった。

大高 0-2 藤崎
――今回は普段ジャッジとして活躍している小畑 志央さんにお話を伺いたいと思います。

小畑「はい、ありがとうございます」

――ワールドウェイクについて、まずざっと感想をお願いします。

小畑「ゼンディカーよりも更に土地にこだわったセットです。上陸というシステムをより生かす為に、コモンに能力付きの特殊土地がもう1サイクル収録されている事でもそれが解ると思います。」

――それは環境にどんな影響を与えるでしょうか?

小畑「リミテッドだと、上陸が単純に強いのですが、スタンダードなどの構築ではそれよりも土地をサーチしてくるようなもの、例えば《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》のようなカードとのシナジーが大きな影響を与えると思います。ワールドウェイクのカードでいえば、コモンの黒い土地で墓地を追放する奴なんかはスタンダードだと《アガディームの墓所/Crypt of Agadeem》デッキに有効ですし、レガシーまで視点を広げると、《壌土からの生命/Life from the Loam(RAV)》デッキや発掘デッキに劇的な効果を発揮するかもしれません」

――ミシュラ土地(クリーチャー化する土地の俗称)はどうですか?

小畑「一番強そうなのは青黒の3マナ起動で3/2ブロックされないになる土地だと思いますね。赤緑も3/3で1回殴ると4/4になるというのはなかなか強いので、ジャンドに居場所があるかもしれません。ただ、タップインランドが多くなりすぎるので、《巨森、オラン=リーフ/Oran-Rief, the Vastwood》あたりと差し替わる可能性があります」

――では土地以外で注目のカードを教えてください

小畑「妥当なところだと《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》、エクステンデットで《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を沢山殺しそうな《燻し/Smother》、それと《風のゼンディコン/Wind Zendikon》は是非使ってみたいカードです」

――《風のゼンディコン/Wind Zendikon》はどんなデッキに入りますか?

小畑「レガシーの話ですが、《壌土からの生命/Life from the Loam(RAV)》デッキや、42ランドに入れてみたいです。単純に《不毛の大地/Wasteland(TMP)》につけて特殊土地を2枚破壊するだけでどきどきしますよ。他にも失いたくない土地がある場合、例えば《アカデミーの廃墟/Academy Ruins(TSP)》なんかに取り合えず付けて置くと、壊されても戻ってくるので多少守れるのはいいかもしれません」

――リミテッドはワールドウェイクの参入でどう変化したと思いますか?

小畑「同盟者デッキが強化された気がします。青で2マナ1/3のライブラリを削る同盟者や、《ハーダの自由刃/Hada Freeblade》(1マナ0/1で出た時に+1/+1の白い同盟者)、同盟者のトークンを2つ出すインスタントなんかがかなり強いのではないでしょうか」

――色の勢力図としてはどうでしょうか

小畑「タフネスの高いクリーチャーが多く増えて地上が守りやすくなり、飛行で勝てるようになった青がまず強化されたと思います。ゼンディカーからあった《クラーケンの幼子/Kraken Hatchling》だけでなく、1/4被服の亀やさっき話をしたライブラリを削る同盟者も2マナ1/3と及第点ですね。他は一長一短です。緑はクリーチャーが軽くなって使い易くなり、黒は4マナ3/2飛行を得たのが大きいです。白は《巣立つグリフィン/Fledgling Griffin》《天頂の鷹/Apex Hawks》で飛行が強くなりました。もしかしたら赤は除去色が濃くなった分使いづらいかもしれません」

――他に何か気づいた部分はありますか?

小畑「色の勢力図というよりも、アーティファクトがかなり強化されましたね。コモンに《帆凧/Kitesail》があるのは凄く大きいと思います。出されて壊せないと負けるゲームが多くなるので、アーティファクト破壊の重要性は増しました。他にも3マナ1/1飛行で土地を手札に入れるクリーチャーや、2マナ1/1で手札の土地を場に出すクリーチャーも相手のターンに上陸できるのが悪くありません。4マナ2/2で上陸すると4/4になるクリーチャーも十分デッキに入る性能です。これが全部無色で、全てのデッキに入ってくるということは、ゼンディカーまでとはデッキの組み方自体が変化しそうです」

――思ったよりも強そうなカードがあれば教えてください

小畑「1黒黒で自分の墓地のクリーチャーカードをライブラリに戻して、そのパワー分のダメージを与えるソーサリーは見ていて強そうだと思いました。序盤でなければ2点は与えられるだろうし、一番厄介なクリーチャーを戻されてしまうのがうっとおしいです」

――最後に、ジャッジ的な視点からワールドウェイクについて語ってもらえますか?

小畑「難しいルールのカードが追加されなくて良かったです」

――ありがとうございました

小畑「いえいえいえ」
 隙を見せるとすぐに別のカードゲームを始めてしまう両名だが、マジックでも札幌の強豪プレイヤーである。共に今日のシールドデッキはそれ程強くないと言うが、プレイングの妙で勝ち上がってきたのだろう。全勝同士らしい緊迫したゲームになるのだろうか?銀貨を買うのもいいが、是非マジックでの腕前を見せて欲しいものだ。


Game1
 《信頼おける山刀/Trusty Machete》《無情な選刃/Ruthless Cullblade》、装備して攻撃、更にはやっと来たティムこと《狡猾な火花魔道士/Cunning Sparkmage》とテンポのいい動きを見せる木村。これを《護衛のゼンディコン/Guardian Zendikon》(2/6防衛)で受け止める展開なのは三浦だ。

 それまでの過程で2発殴られた後のライフが11な三浦は、《信頼おける山刀/Trusty Machete》が装備された《無情な選刃/Ruthless Cullblade》に三度攻撃されて仕方なくブロックする。案の定木村は《狡猾な火花魔道士/Cunning Sparkmage》で三浦本体を指定、ライフを10まで引き下げて《無情な選刃/Ruthless Cullblade》が4/3に育ち、装備で6/4となって《護衛のゼンディコン/Guardian Zendikon》を打ち破った。

 なんとか押しとどめたかった三浦だが、遅い手札をキープしてしまっていた為に何も出来ず、そのまま木村の6/4が三浦を押し潰した。

木村 1-0 三浦


Game2
 三浦はお返しとばかりに猛攻を仕掛ける事に成功する。《面晶体の流浪者/Hedron Rover》が《破滅の槌/Hammer of Ruin》を装備して押しながら、《コーの奉納者/Kor Sanctifiers》や《狡猾な火花魔道士/Cunning Sparkmage》で地上もしっかりガードする。加えて《噴火滑り/Geyser Glider》、《巡礼者の目/Pilgrim’s Eye》、《コーシの荒廃者/Cosi’s Ravager》と毎ターン展開していく三浦だが、木村に全てをダブルブロックと除去で捌き切られてしまうと、お互いに決定打が無く膠着した盤面となった。《護衛のゼンディコン/Guardian Zendikon》の前には木村の《破滅的なミノタウルス/Ruinous Minotaur》も、もじもじするしかない。

 ここで先に決定打を引き込んだのは三浦だった。飛行持ちの《コーの空漁師/Kor Skyfisher》が《破滅の槌/Hammer of Ruin》を装備し、残りライフの少なかった木村は数度のアタックを経て投了した。

木村 1-1 三浦


Game3
 お互いに軽量のクリーチャーで速攻を仕掛けるタイプのデッキなこともあり、2人のゲームスピードが速すぎて正直記録が追い付かない程だ。

 三浦の召喚した生きている《ドラゴンの爪/Dragon's Claw(9ED)》こと《コーの火歩き/Kor Firewalker》が《破滅の槌/Hammer of Ruin》を装備して攻撃すると、赤黒デッキの木村は

 「これは負けたーー! 」
と、頭を抱える。

 その上木村は土地しか引けず、そのまま4/2プロテクション赤に殴られながら、手札の《噴出の稲妻/Burst Lightning》を恨めしげに見やった。

木村 1-2 三浦
 札幌マジック会の長老こと池田。古くはジャッジとして、今は一線を引きプレリにだけ遊びに来るプレイヤーとして、長くマジックに関わり続けている。今日もいつものようにシールドと平行してオープンデュエルにも参加していて、カード捌きは流石に手馴れたものだ。今日は軽くてコストパフォーマンスの良いクリーチャーが中心の赤白デッキを回している。

 対する福山は《死の影/Death’s Shadow》を《死の報い/Dead Reckoning》で戻して13点をクリーチャーに与えるコンボが搭載されている白黒デッキで勝ち上がってきた。《マラキールの血魔女/Malakir Bloodwitch》や《天頂の鷹/Apex Hawks》など多くの優秀なクリーチャーを《応報の罠/Nemesis Trap》や《帆凧/Kitesail》でバックアップする強力なデッキで、かなり期待ができそうな仕上がりとなっている。


Game1
 《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》2体と《巣立つグリフィン/Fledgling Griffin》をまず並べたのは福山。池田の《コーの空漁師/Kor Skyfisher》に構わず3体で攻撃してダメージを重ね、続けて《帆凧/Kitesail》を出しつつ即装備から手早くライフを詰めていくプランだ。

 《帆凧/Kitesail》が何よりのガンな池田は《タクタクの潰し屋/Tuktuk Scrapper》でそれを破壊、そして《連鎖反応/Chain Reaction》で場を一掃してから沼渡りの《湿地を縫う者/Marsh Threader》を戦場に呼び出し、《ぐらつく峰/Teetering Peaks》で強化したりしながらじわじわと追い詰める。

 福山はこの沼渡りを最後までどうにもできず、最後のターンに「1点足りないー」と言いながら《風をまとう突撃/Windborne Charge》を唱えて、場を片付けた。

福山 0-1 池田


Game2
 またも福山は《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》スタート。《巨大蠍/Giant Scorpion》《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito》と続ける。池田も順調に《コーの空漁師/Kor Skyfisher》《溶鉄の荒廃者/Molten Ravager》、そして先ほどゲームを決めた《湿地を縫う者/Marsh Threader》を送り出し、伺うように2点の沼渡り攻撃を試みると、除去されずこれが通って福山13-14池田。

 ブロックされづらい《巨大蠍/Giant Scorpion》で1点づつのダメージを加える福山だが、《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》で毎ターン1点食らう上に沼渡りがまだ止まっていない為、ライフレースで大きく遅れを取っている。《巨大蠍/Giant Scorpion》はとうとう《業火の罠/Inferno Trap》で除去されたが、この状況を打開する為のカード、《天頂の鷹/Apex Hawks》を2回キッカーで4/4飛行として召喚した。

 池田は間の悪さに一瞬がっかりした表情を浮かべた。ひとまずは《雨雲の翼/Nimbus Wings》を《溶鉄の荒廃者/Molten Ravager》にエンチャントして、《コーの空漁師/Kor Skyfisher》と共に対空の構えとすると、やっぱり止まっていなかった沼渡りがコモンらしからぬ大仕事を果たし、1マッチを池田にプレゼントした。

福山 0-2 池田

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